ストレッチをすると筋肉が弱くなる?
――先ほど「1か100かで考えなくていい」というお話がありましたが、ストイックに考えるあまり、健康的な習慣を継続できない人は多そうです。ほかにも、健康に関する考え方で誤解しがちな点があれば教えてください。
永井 一番多いのは「つらいのを当たり前だと思ってしまう」ことです。痛さやつらさを感じる、よく物忘れをする、話への反応が鈍くなる、慢性的に眠かったりだるかったりする……。これらは、すべて体からのシグナルです。体がつらい状態では、脳もうまく働きません。それより、つらい状態にならないように予防したり、きちんとケアをしたりすることが、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
また、よく誤解されていますが「筋トレ」と「ストレッチ」はどちらか片方だけをやっていても意味はありません。筋肉の役割は「ポンプ」であり、「伸び」と「縮み」の両方の動きをしなくてはいけないのです。しかし、筋トレは縮ませてばかりで、ストレッチは伸ばしてばかりになってしまいます。特に、ストレッチは気持ちいいものですが、伸ばしてばかりいると筋肉を弱めてしまうので、注意が必要です。
――確かに、伸ばしてばかりではポンプの役割を果たせませんね。
永井 体の老廃物を排出するために重要なリンパ液が体内をくまなくめぐるためには、筋肉のポンプの働きが不可欠です。血液がきちんと流れることも大切ですが、血液は心臓がポンプになってくれるため、ある程度は流れてくれます。一方、リンパ液は滞っている人がとても多く、老廃物を排出できないことで冷えやむくみ、メタボリックシンドロームなど、さまざまな不調の原因となっているのです。
会社のデスクでもできる健康体操
永井 それでは、病気の予防や体のケアにつながり、オフィスでもすぐにできる体操を2つ紹介します。まず「肩、爪先リセット」ですが、効果がわかったほうが張り合いも出るので、可能な場合はテストから行いましょう。テストは、椅子に腰掛けた状態で横から人に肩を押してもらい、体が動かないよう耐えられるか、というものです。
そして、まずは「肩、爪先リセット」を行います。椅子に腰掛けた状態のまま、両肩と両足のかかとを、息を吸いながら思いきり上げます。爪先は床につけたまま。その後、息を一気に吐いて脱力し、両肩と両足のかかとをストンと落とします。この際、脱力するのは両肩、両足のかかとだけ。体の中心の軸まで脱力して落とさないように気をつけてください。
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