――5秒もあればできますね。この体操には、どういった目的があるのでしょうか。
永井 余計な力を抜くことです。いったん力まないと力みを取ることはできないので、あえて肩とかかとを引き上げ、力ませることで脱力の効果を上げます。
――「肩、爪先リセット」をした後で先ほどのテストをすると、強く押されても耐えることができますね。
永井 体幹以外を脱力することで、体を上手に使えるようになるのです。さらに呼吸も深くなり、疲れにくい体にもなります。特にパソコンを長時間使用する人は肩や腕に力が入っているので、定期的に力みを取ることが大切です。
もうひとつの「体幹ツイスト」ですが、これも椅子に座ったままできます。頭の後ろで両手を組み、両膝を右にひねりながら顔を左に、両膝を左にひねりながら顔を右に。上半身と下半身を反対に動かすツイスト運動を、20往復を目安に行います。膝は閉じていても開いていても、やりやすいほうで大丈夫です。ひねりきった時に「フッ、フッ」と息を吐きましょう。
――これも、1分もあればできますね。
永井 これは、いかに多くひねるかは重要でないので、フラフラとゆする程度で大丈夫です。この運動は背筋に効果があります。これも、運動前後で人に後ろから肩甲骨の間のあたりを押してもらって押し返すテストをすると、違いがわかると思います。
この運動では、おなかの筋肉や背筋が「伸び縮み」するため、筋肉のポンプの力を向上させます。「肩、爪先リセット」は1時間に1回程度、「体幹ツイスト」は3時間に1回程度できれば理想です。
「つらい」は当たり前の状態ではありません。特に男性は症状が重くなってから気づく人が多いですが、つらくなる前に日々のケアをすることが大切です。ケアは自分の体ひとつで、1分もあればできます。2つの運動を通じて、体や頭の動き、睡眠の変化を体感し、毎日の習慣にしてみてください。
(構成=石徹白未亜/ライター)
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