「食べログ」の評価や星の数は見なくていい
–よく行く店はあるけれど、「行きつけ」という意識のない人は多そうですね。
本郷 行きつけの店の楽しさを知らないというのもあるのでしょうね。行きつけの店に行けば、嫌な思いはしませんし、店の人も自分の好みを大切にしてくれるし、一緒に行った人も大切にしてもらえます。
料理にしても、座席にしてもそうです。店としては、同じまぐろでも、おいしい部位と普通の部位があったら、おいしいほうは新規より常連の客に出しますよね。
語弊があるかもしれないですが、自分により良いサービスをしてくれる店があるというのはステータスだと思います。そういったものがあったほうが生活が円滑に進むし、何より楽しいですよね。
–行きつけになるまで、どのくらい通えばいいのでしょうか?
本郷 3回ですね。最初に名刺交換をして、間髪入れずにまた行けば、店の人に顔と名前を覚えてもらえます。そして、3回目の予約をすれば、もう行きつけになりますよ。
–「食べログ」など、飲食店の口コミサイトがあふれていますが、こういったサイトは参考にしますか?
本郷 「食べログ」は休店日、営業時間、席数など、基本情報がしっかり載っているので、私もよく見ています。ただ、おいしいものは「誰」が推薦するかが大切だと思います。その「誰」の部分を探す方法としては、「食べログ」ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使っています。
自分がおいしいと思う店を推していた人を15人くらいピックアップして、勝手にブレーンをつくってしまうんです。別に、知り合いでなくてもかまいません。その人が「おいしい」と言う情報が、自分のSNSにアップされるようにしてしまえばいいんです。
僕は、フェイスブックに「いつか行く店」のリストを非公開で自分用につくっています。そういうものをつくっておかないと、本当に忘れてしまうんですよね。
–では、「食べログ」の評価コメントや星の数は見ないんですか?
本郷 見ません。自分が選んだ人たちの評価を信用しているからです。さらに、行った店についてSNSで「おいしくない」と書く人は少ないですから、「もう一回行きたいですか?」と個人的に聞いてみるんです。反応はいろいろですが、そういったことも参考にしています。
–何気なく行っていた「外食」も、こう考えると、いろいろと楽しみ方がありますね。
本郷 はい。どうせ外食をするなら、人生を活性化する武器として使わない手はないと思うのです。外食には、自分をバージョンアップし、人間関係を広げ、日々の生活をおいしく楽しくする力があると僕は思います。外食を通じて、幸福感を得る。これこそが、本書のテーマです。
(構成=石徹白未亜/ライター)
『自分をバージョンアップする外食の教科書』 テレビ番組を25年以上作り、世界的な音楽家、芸術家、建築家、職人、人間国宝、三つ星シェフ、一部上場企業の社長、ベストセラー作家、売れている芸能人、気鋭のクリエイター、億万長者など、その道でかなりの成功をおさめている世間で言う「一流」の人に数多くインタビューした著者が気づいたこととは……。 「一流の人は、外食を武器としている」ということ。