新型コロナウイルス禍で外食産業が軒並み売り上げを急落させるなかにあって、大手ファストフードチェーンのマクドナルドは例外のようだ。先の緊急事態宣言にともない5都道県の全店舗で店内客席の利用をストップするなどしたため、全体の客数はマイナスになったものの、テイクアウトやドライブスルーが好調で、客単価が大きく伸びたというのだ。つまり、コーヒー1杯で長居する客が激減し、ステイホームのファミリー層のまとめ買いが増えたということなのだろう。
自社やUber Eatsによるデリバリーのサービスに加え、この売り上げアップに大きく貢献したのが、スマートフォンやタブレットのアプリからオーダー&決済ができ、店舗で商品を受け取ることができる「モバイルオーダー」だという。
話題を集めているこのシステムは、どれほど便利なのか? イマイチな部分はないのか? そのあたりをリサーチすべく、「モバイルオーダー」初心者の筆者が、実際にトライしてみた。
どこにいても、オーダー&決済を完了できる
都内某区で2人暮らしをしている筆者は、自宅にてスマホを取り出し、マクドナルドのアプリを開いた。以前は、クーポンが利用できる既存の「マクドナルド」アプリと「モバイルオーダー」のアプリは別々に存在したが、今はメインの「マクドナルド」内に「モバイルオーダー」機能が実装されたことにより、利便性が飛躍的に増しているのだ。
というわけで、「マクドナルド」アプリのトップ画面に「モバイルオーダー」の文字が目立つところにド~ンと表示されているので、その部分を迷わずにタップしてみる。
店舗検索画面に切り替わる。マップ上に現在地の周辺にあるマクドナルドの店舗がポツポツと表示されている。もちろん、現在地の周辺ではない店舗を検索することもできるようだ。
利用したい店舗(今回は筆者の自宅から徒歩5分のお店)を選んでタップすると、商品メニューの画面に移行。店舗と変わらないラインナップで、クーポンによる割引対象の商品もある。ドリンクやサイドメニューのサイズ変更も可能だ。ただし、時間帯によるのか店舗の事情なのか、一部に選択できないようになっている商品もあった。
商品と数を選んでカートに入れる。カート内を確認したら、「レジに進む」をタップする。すると、次は注文内容の確定画面が表示された。
ここではまず、利用方法を選択する必要がある。今回は記事のテーマに即して「テイクアウト」を選ぶ。なお、一部の店舗のみ「駐車場で受け取る」という選択肢も選択可のようだが、今回の店舗では非対応だったので詳細は不明。「テイクアウト」の下に「ドライブスルーには対応していません」と注意書きがあったので、「テイクアウト」の場合はドライブスルーの窓口で商品を受け取れないということ、「駐車場で受け取る」はドライブスルーとは別物であることがわかる。ただし、あくまで詳細は不明だ。
次に、画面を下にスクロールさせると、支払い方法の選択肢が表示される。「LINE Pay」と「クレジットカード」の2種類が用意されているが、今回はクレジットカードを選んだ。当然、カード番号などのもろもろの入力が求められる。これがちょっと面倒だが、1度登録すれば2回目以降は不要になるので、頑張って入力する。
一方、「LINE Pay」を選んだ場合は、もともと同アプリに決済方法が登録されていれば、この段階での細かい入力は不要のようだ。
すべての選択と入力が終わったら「注文を確定する」の部分をタップすると、最終確認画面に。ここで「決済を確定する」という部分をタップ!
すると、スマホのディスプレイには、注文番号と、「ただいまお作りしています!モニターに番号が表示されたらお受取りください」というメッセージ、さらに、店舗までのマップが表示された。
「モバイルオーダー」は、決済を確定した時点で、選択した店舗になんらかの情報が行き、店員が商品を作り始めるようになっているのだ。
「ただいまお作りしています!」という言葉に多少の焦りを感じつつ、マスクを付けて、靴を履いて、自宅から徒歩で5分のお店までトボトボと歩き出した。決済は済んでいるので財布はいらない。
約5分後に到着。昼時ということもあって、オーダーをするためにレジ前に7人が並んでいた。緊急事態宣言の解除以降、店内飲食も可能となっているので、店内で飲食している人も多い。
レジカウンター横のモニターを確認すると、筆者の注文番号はすでに表示されていた。そこで、店員に番号を言って、ササッと商品をピックアップ。8人に増えたオーダー列を冷ややかに見ながら、店から退出する。こうして筆者はさっそく家に帰って、同居人とまだ温かいハンバーガーやフライドポテトを食したのだった。なお、カウンターでスマホ画面の提示は求められなかった。
結論を述べよう。「モバイルオーダー」は超絶便利だ。今後マクドナルドを利用する際は、デリバリーを除けば、「モバイルオーダー」一択しかない。利用してこなかった今までの自分を恥じた筆者だった。
「モバイルオーダー」一択しかない理由
ここからは、具体的に「モバイルオーダー」が優れている点を列記しよう。
1、簡単である
初回に決済の部分をクリアすれば、あとは本当にカンタン。ストレスフリーでオーダーできる。
2、オーダーの列に並ばなくていい
最大のメリットはコレ。なにしろ、現在の“withコロナ”の生活様式では極力避けたい“列に並ぶ”という行為が必要ナシなのだ。
今回はテイクアウトをしたが、仮にマクドナルド店内で食事をするにしても、「モバイルオーダー」を利用すれば、オーダーの列に並ばないでいいのは同じ。しかも、店内に着席状態でのオーダーなら、店員が席まで商品を持ってきてくれるサービスもある。
なお、筆者はたまたま自宅から徒歩5分のところにマクドナルドの店舗があったので自宅でオーダーしたが、現在地から店舗までのアクセス時間がもっとかかる場合は、時間が読める地点に行ってからオーダーすればいい。
もう一点。ドライブスルーのサービスをやっている店舗では、土日になると、ドライブスルーカウンター前にクルマの大行列ができることがある。その最後尾に並ぶくらいなら、店舗駐車場か、あるいは店舗近くの路上にでもクルマを停めて「モバイルオーダー」のアプリからオーダー&決済の上、カウンターで商品を受け取った方が断然早いのではないだろうか?
3、店内滞在時間をミニマムにできる
あらかじめオーダーしておけば、列に並ぶ時間だけではなく、商品のできあがりを待つ時間もカットできる。店内に人が多くて“密”な感じになっていても、すでに商品ができていれば、受け取ってすぐに店の外に出られる。もし、まだできていなければ、離れたところで待機するか、いったん店外に出て数分やり過ごすという手段もある。ともかく、“密”云々を抜きに考えても、トータルで時短になるのは嬉しい。
4、手数料がかからない
マクドナルドを利用するにあたり、人との接触を避けられ、かつ時短になる便利なシステムには、ほかに「デリバリー」がある。その場合は、当たり前だが自分が店舗に行かなくていいのは大きな魅力だ。ただし、マクドナルドが自社でやっているデリバリーは、デリバリー料300円がかかり、Uber Eatsの場合も配送手数料(変動制)、 サービス料(10%)などが発生する。
その点で、自分で取りに行くことを手間に感じなければ、コスト重視派には手数料ゼロの「モバイルオーダー」がベターではないだろうか。また、Uber Eatsの場合は配達員の対応に個人差が激しく、残念な思いをする場合もあったり……。自分で取りに行けば、そうしたガッカリ感も回避できよう。
5、ドリンク1杯から対応している
マクドナルドの自社デリバリーは、少額の注文には対応していない(通常は1500円からで、朝マックは1000 円から)。Uber Eatsは、少額注文の場合は別途で手数料(700円未満の注文には150円)がかかる。これに対し「モバイルオーダー」は、ドリンク1杯、バーガー1つからOKなので、単身者や少食の人にも利用しやすい。
「モバイルオーダー」利用でちょっとだけひっかかった点
上記のように、いいことばかりの「モバイルオーダー」だが、ひっかかる点を探せばいくつかある。
1、オーダーから商品ができるまでの時間が読みにくい
「モバイルオーダー」利用時は、決済完了の時点で商品が作られ始め、「●分で完成します」とも、「できました」とも、スマホに連絡が来るわけでもない。つまり、所要時間は、混雑状況やオーダー中の商品の数次第なのである。ドリンク1杯なら数十秒でフィニッシュということもあるだろう。逆に、混んでいれば5分、10分とかかることもあるかもしれない。しかし、さすがに15分、20分も待たされることはめったにないだろう。そのあたりは、過去にマクドナルドを利用してきた肌感覚に頼るしかない。
店外からオーダーした場合、時間を読み誤ると、“店舗到着時にはバーガーがすっかり冷めていた”ということは十分に有り得るのだ。
2、dポイント、 楽天ポイントが使えない
マクドナルドでは、カウンターで対面でオーダーする際は、貯まったdポイント、 楽天ポイントを使っての決済も可能だが、「モバイルオーダー」ではそれができない。これがちょっと残念。
といった具合だ。“ひっかかった点”は、それほど大きな問題ではなく、便利さがそれを激しく凌駕する。「モバイルオーダー」未経験の方には、1度利用してみることをオススメしたい。いまや、マクドナルドでオーダーの列に並ぶことがいかにばかばかしいことになっているかを実感できるだろう。時代は確実に進化しているのである。
(文=峯岸あゆみ)