歯科医院は虫歯の治療ではなく予防の場所
ちなみに、ロールタイプのフロスを使用する方法は次の通りだ。
まず、フロスを30cmほど取り出し、両端を左右の中指に2~3回巻きつけてピンと張る。長さがしっくりこない場合は調節して使用する。
「準備ができたら、下あごから1本ずつフロスを通していきます。このとき、ケアの“スタートとゴール”を決めておくと、処理のし忘れを防ぐことができます。フロスが歯ぐきに到達するまでゆっくりすき間に通したら、前後、上下に少しだけ動かしましょう。ひとつのすき間が終わったら、使用する範囲を変えて次の歯間に通す。これを繰り返してください」(同)
フロスの使い方に慣れれば、5分ほどですべての歯間をケアできるようになるという。その後、あくまでも『食べかすを取る』という目的で歯ブラシを使用する。繰り返すが、口内トラブルがなければ歯磨剤は必要ない。
もっとも、フロスを使えば口腔ケアは終わりというわけではない。大事なのは、フロス使用が習慣化しても歯科医院で定期的に検診を受けることだ。
「きちんとケアを行っていても、『自分では取れない汚れ』が必ずあります。新しい汚れはセルフケアで除去することができますが、プラークが古くなってできた歯石は歯科医院でなければ取り除けないのです」(同)
プラークによってできた歯石は3カ月で硬くなり、人間の体にさまざまな害を及ぼす。そのため、個人差はあるものの、3カ月に一度程度の目安で通院するのが理想だという。
「歯科医院なら、それぞれの人に合った器具やケア方法を相談することもできます。歯科医院を『虫歯が痛くなってから駆け込む場所』ではなく『予防の場所』として捉える。そう考えることで、自身の健康にもつながるでしょう」(同)
多くの日本人が勘違いしている“歯磨き”をめぐる習慣。まずは、食後のフロスから始めてみてはどうだろうか。
(文=真島加代/清談社)
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