酵素ドリンク、大半は酵素含まず無意味?コンビニサラダ、薬液使用で栄養補給ならず
なぜ生の食品が必要なのか
では、なぜ生の食品を摂る必要があるのでしょうか。それは、生の食品からしか摂取できない栄養素があるからです。その最たるものは、ビタミンCです。加熱しても壊れないビタミンCを含有している食品も、ごくわずかにはありますが、雑食動物である私たちが、その食品ばかりを食べ続けるわけにもいかないので、やはり生の食品からビタミンCを摂らなければ健康を維持できません。
「生のものは体を冷やすから食べてはいけない」といった説を唱える人がいますが、筆者は全面的に否定します。生の食品を食べず、したがってビタミンCを摂取しないと、私たちの体は確実に壊れていきます。たとえば、ビタミンCはたんぱく質の一種である「コラーゲン」の生成に関与していますので、ビタミンCの摂取量が足りないとコラーゲン生成ができなくなってしまいます。その弊害は肌にも表れますが、同時に体の内部、つまり内臓などにも悪影響が及んでいる、ということなのです。
もうひとつ、私たちが生の食品を食べなければならない理由は、酵素(エンザイム/enzyme)を摂り込むためです。ほとんどの酵素は摂氏48度で活性を失ってしまい、二度と元の状態には戻らないため、加熱した食べ物からは酵素が摂取できないからです。
酵素は大きく3種類に分けると理解しやすいと思います。食物酵素、消化酵素、代謝酵素の3つです。食物酵素は文字どおり、食べものの中に含まれているもので、体の外に存在しているという意味で、体外酵素とも呼ばれます。消化酵素と代謝酵素は体内でつくりだすもので、体内酵素といいます。
酵素はたんぱく質の一種で、体内のあらゆる反応に関わっています。食べたものを吸収できる形に変えるのも酵素の働きですし、栄養素として吸収した物質を別の物質につくりかえて体が使える形にするのも酵素の働きです。私たちの体が健康であるということは、いわば一連の酵素反応が滞りなく行われている証しでもあるのです。その酵素の働きを助ける物質のことを補酵素(コエンザイム/coenzyme)といいますが、多くのビタミンやミネラルは、補酵素としても働いています。
加工食品ばかりの食生活は、食べものから酵素を摂取できないのみならず、消化に大量の酵素を必要とするので、酵素の無駄遣いをしていることになります。それはそのまま、健康に影響を及ぼします。昨今、よく話題になるトランス脂肪酸などは、そもそもそれを消化するための酵素が人体にないので、体はなんとか分解しようとしますが、それができずに酵素を浪費します。また大量の動物性たんぱく質を消化するためにも、大量の消化酵素を必要とするのです。そんなことで、酵素を無駄遣いしてしまう食生活がいかに愚かで不自然なものであるかに、現代人は気づくべきでしょう。
生の食品を食べないという食生活が、いかに私たちの体に多大なダメージを与えるかということをご理解いただけたでしょうか。