「デートにこぎつけても成婚まで至らない方は多いです。熟年世代が結婚を成就させようとするなら、相手の価値観を尊重し、互いにじっくり話し合うことが何よりも大切です。あとは、『積極的にアプローチするほうが成功率が上がる』と、取材をしていて思いました」(同)
ちなみに、婚活市場で人気のある熟年はどういうタイプなのだろうか。ルックスでいうと、男性は“おじいちゃんスタイル”はNGだという。日よけ帽子やベスト(チョッキタイプ)など、孫と歩いているときのようなファッションは人気がないそうだ。女性の場合は、フワッとしたスカートをはいた優しそうな人に人気が集まるという。
「加えて、熟年の婚活でも、女性は1歳でも若いほうがモテます。81歳よりも80歳と、少しでも若いほうがいいんですね。男性も、話している途中で痰がからまったりせき込んだりと、年齢を感じさせるしぐさや行動は好かれません」(同)
90代でもセックス、老人ホームで不倫…
それにしても、人間はいくつまで恋愛し続けるのだろうか。成婚の確率が高くないとはいえ、家田さんから聞く熟年世代の婚活事情を見ると、若者と同じくらい積極的にパートナーを探して交流を楽しんでいることがわかる。
「人は死ぬまで恋愛をすることができます。1年間、ある養護老人ホームに毎週通って入居者の方に話をうかがいましたが、そこでは多くの高齢者が自由に恋愛をしていました。70~90代になってもセックスを楽しむ人もいました」(同)
ホーム内では、妻のいる熟年男性とホームのマドンナ的存在の熟年女性が不倫関係になったり、90歳の女性が同じく90歳の男性の寝込みを襲ったりと、まさしく「死ぬまでセックス」という光景が繰り広げられていたそうだ。
しかし、そうなると新たな問題が浮上する可能性もある。家田さんが危惧するのは、「性の老難民」の増加だ。
「今後、高齢化社会を迎える日本では『性の老難民』が増えるのではないかと、切実に心配しています。介護職の方からは、熟年男性にお尻をさわられたり、体が動かないはずの男性が突然元気になって襲いかかってきたり、という話も聞きました。熟年の婚活や恋愛が周知されていくなかで、これからは熟年世代が発散できる場を、もっと増やしていくことも大切ではないでしょうか」(同)
とはいえ、肯定的に捉えれば、それは決して悪い話ではない。家田さんは「いくつになっても、いい恋愛をするのは素敵なこと」と話す。
『熟年婚活』 平均寿命がますます延びる中、熟年世代の婚活が盛んに行われている。バス旅行を中心に大人気の婚活ツアーをはじめ、婚活クラブ、地下風俗、老人ホームにおける恋愛や結婚の実態を家田荘子が密着リポート。