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熟年婚活&結婚の理想と実態…老人ホームの「死ぬまでセックス」問題

文=喜屋武良子/清談社
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熟年婚活に立ちはだかる“しがらみ”とは

 ただし、家田さんによると、熟年世代の結婚には特有の障壁も多いという。最たるものが、それまでの人生の“しがらみ”だ。

「特によく耳にしたのが『お子さんに反対されてうまくいかない』というケースです。婚活クラブで知り合って成婚までいった69歳の男性と49歳の女性がいたのですが、男性側のひとり息子が『財産目当ての結婚に違いない』と反対して、ずいぶんもめたようです。結局、男性が家と土地をすべて子どもに贈与する手続きをして初めて、籍を入れることができました」(同)

 たとえ再婚であっても、パートナーが亡くなれば法律上は財産の半分は相手のものとなる。このため、自分が受け取るはずの財産を横取りされることを恐れた子どもが、熟年世代の親の結婚に反対しがちなのだ。

 こうした家族のしがらみのせいで、同棲や事実婚はしても入籍までには至らない熟年カップルも多いのである。

「子の場合、親に反対されても自分の意思で籍を入れてしまいがちです。ところが、不思議なことに親の場合は子に反対されると結婚をあきらめることが多いのです。あらためて考えると、親が築いた財産に子が口出しするのはおかしなことなのですが……」(同)

 さらに、平均寿命が伸びている日本では、熟年世代の親がまだ存命中ということも珍しくない。そうなると、今度は介護問題が障壁となる。

「若いときに愛し合って結婚し、一緒に年を重ねた後なら、相手の両親の介護もしやすいかもしれません。一方、熟年世代の場合は、結婚と同時に今まで他人だった人の親を見ることになる。かなり決心がいることでしょう」(同)

 そのため、熟年世代の婚活では、相手に「もう親は見送りました」と自己申告する人もいるそうだ。

熟年婚活でも、女性は1歳でも若いほうがモテる

 長く生きてきたことによるしがらみは、財産や親の結婚に口出しする子どもだけではない。それまでの人生で築き上げたキャリアや長年住み続けた場所など、若者世代よりも背負うものがはるかに多くなる。

 熟年同士であれば、自分だけでなく相手も同様だ。住んでいる場所が離れていたり、生活スタイルがまったく違っていたりするケースもある。

「若ければ、相手のために仕事を辞めたり今まで住んでいた土地を離れたりということも、比較的簡単にできるかもしれません。ところが、年齢を重ねていくと、積み上げてきたものを手放すのは難しいのです」(同)

 そして、生きてきた年月が長い分、それまでの人生で培ってきた価値観を相手に合わせて変化させるのも至難の業だ。そう考えると、もはや熟年世代が理想の相手を見つけられるのは“奇跡”に近いとすら思えてくる。

『熟年婚活』 平均寿命がますます延びる中、熟年世代の婚活が盛んに行われている。バス旅行を中心に大人気の婚活ツアーをはじめ、婚活クラブ、地下風俗、老人ホームにおける恋愛や結婚の実態を家田荘子が密着リポート。 amazon_associate_logo.jpg

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