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物理の大前提が覆る実験結果…水だけで生きる人の体内で、何が起きているのか?

文=水守啓/サイエンスライター
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 その後もさまざまな学者・研究者らによって同様の現象が起こり得ることが報告され、生体内で酵素やバクテリアが元素転換を行うとするケルヴラン説に至った。だが、元素転換が起こるとされる実験は再現性が乏しく、厳密さに欠けていたとして、ケルヴランは大きな批判を浴びることとなった。

 そして、現代版の宗教裁判のごとく科学界でケルヴランは攻撃され、生物学的元素転換説は事実上葬られることとなった。さらに1993年、故人となってからもケルヴランは「錬金術の熱心な崇拝者」としてイグノーベル賞を授与されるなど、完全にこき下ろされている。

植物はいかに栄養を得て体重を増やすのか?

 だが、元素転換説を考えざるを得なくなるような不可解な事例がまったくなかったとまではいえなかった。また、水だけを飲んで生きていけるような人々が存在すると報告され続けているように、実際のところ、生物学的元素転換を完全に切り捨ててしまって良かったのかと陰で疑問を呈する人々もいた。

 もし、再現性の高いシンプルな実験法が提示されていれば、歴史は違ったかたちで流れていたのかもしれない。実は、代替科学のコミュニティーにおいて、今から20年前に注目された実験法がある。それは、外部との接触を完全に遮断して植物を生長させる方法で、それによって誰もが簡単に奇跡を確認できると囁かれたものである。

 植物の生長には、水、空気、温度、光、そして、いくらかの元素(必須元素)が必要だと考えられている。だが、発芽の段階に限ってみれば、水と空気と適度な温度さえあればいい。それをうまく利用した方法である。以下に紹介しておこう。

 まず、消毒した綿を蒸留水で十分に湿らせて、試験管の中に入れる。次に発芽の初期段階のマメ科植物の種子を入れる。重量の変化を調べるため、小さく軽い植物の種子よりもエンドウマメや大豆のようなサイズの種子のほうが好ましい。そして、試験管をガラス栓で密閉した後、さらに接合部分をロウで固める。外部からの空気や湿気を完全に遮断するためである。あとは、種子、綿、水分を含めた試験管全体の重量を測定して、待つだけだ。

 温度の条件にもよるが、2~3週間もあれば十分だろう。芽を出した後に顕著になるようだが、驚くべきことに、試験管の重量は無視できないレベルで増すという。これは、精密なはかりでなくとも確認できるようだ。

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