消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
かつて、日本食が海外にあまり知られていなかった頃、海苔を食べる日本人を見て外国人が「黒画用紙を食べている」と驚いた、という都市伝説のような笑い話がありますが、それは本当の驚きだったのです。
カラギーナンの構造式
海苔に含まれる代表的なカラギーナンは、このような分子が複雑に結合することによって巨大化し、粘り気の元となります。
食べたものを消化吸収し、どれほど活用することができるかは腸内細菌の活躍にかかっていることがわかっています。人間が栄養にできない干し草をウシが栄養にできるのは、ウシは干し草の繊維を分解して栄養に変換する腸内細菌を持っているからです。
この研究では、日本人を含めた12カ国の人々の腸内細菌をメタゲノム解析という方法で遺伝子レベルで解析しました。その結果、腸内細菌について、日本人同士は種類が似ていることがわかりました。さらに、欧米人に比べて日本人は「ビフィズス菌を豊富に含むこと」「グルタミン酸などのアミノ酸を有効活用できること」、前述の通り「海苔を消化分解して栄養源として活用できること」などの特徴を持つことが明らかになっています。
このような日本人の腸内細菌の特徴が、欧米人よりもさまざまな栄養成分を効率よく利用できる腸内環境をつくり出し、世界有数の平均寿命や低い肥満率の元になっているのかもしれません。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー)
【参考資料】
「健康な日本人の腸内細菌叢の特徴解明、約500万の遺伝子を発見 平均寿命の高さや低肥満率等との関連も示唆」(早稲田大学)
『マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-』(共立出版/Harold McGee 著、香西みどり監訳、北山薫、北山雅彦訳)
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』 野菜を食べると体によい。牛肉を食べると力が出る。食べ物を食べるだけで健康に影響を及ぼし気分にまで作用する。なんの変哲もない食べ物になぜそんなことができるのか? そんな不思議に迫るべく食べ物の体内動態をちょっと覗いてみよう。
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.06.26 17:00
2024.06.19 16:35
2024.03.17 17:30
2024.02.27 09:34