日本最大級のファストファッションブランドであるユニクロ。運営元であるファーストリテイリングの2018年8月期第3四半期決算によれば、国内ユニクロ事業の売上収益は前年同期比7.8%増の7044億円、営業利益は同29.6%増の1200億円と、その業績に衰える気配はない。
そんなユニクロは以前より、商品の在庫確認やデジタルチラシの閲覧などができる「ユニクロアプリ」をスマートフォン向けにリリースしていたが、7月11日、新たなオリジナル機能を追加した。
それは「UNIQLO IQ(ユニクロアイキュー)」と命名された、お買い物アシスタントサービス。「LINE」のような無料対話アプリ感覚でAI(人工知能)とチャットしながら、自分に合ったコーディネートを見つけられるというものである。これが、さながら“AIスタイリスト”だと話題になっているのだ。
昨年9月の段階で約15万人のユーザーを相手に試験運用を開始しており、今年の春には正式に公開する予定だったという。しかし、AIのさらなる精度向上を目指し、7月まで先延ばしになっていたとのことである。
UNIQLO IQは誰でも無料で利用できるが、その満足度はどれほどのものなのか。タレントのスタイリングや、ファッションコラムの執筆などを手がけている本職のスタイリスト・森田文菜氏に、UNIQLO IQを実際に使ってみた感想を聞いた。
企業目線とユーザー目線、双方からレコメンド
UNIQLO IQは、ユニクロアプリのホーム画面の下部にある「IQで探す」という箇所をタッチすることで起動する。手始めにメニューから「おすすめコーデ」を選ぶと、性別を男性で登録していた筆者には、「涼しくて快適! 夏のショートパンツスタイル」が9種類リストアップされた。
まず、これらのコーディネートを森田氏はどうとらえたのか。
「UNIQLO IQが提案するコーディネートは、当然ですがすべてユニクロの商品で構成されており、どのアイテムもベーシックです。ですから、“ダサすぎずオシャレすぎない”コーディネートになっており、ハズレはないと感じました。
数も豊富で、これらはユニクロの公式サイトやアプリからもアクセス可能な『STYLING BOOK』というページから引用されています。そのアイテムには何を組み合わせればいいか、関連するスタイリングの写真を見ながら検討できるわけです。このような提案の仕方は、今回のUNIQLO IQのリリースとあわせ、近年ユニクロが特に力を入れている部分だという印象です。
ほかには、『きれいめ』『カジュアル』『オフィス・出張』『デート』といった具合にジャンル別のコーディネートを表示してくれるのも助かりますし、気になったアイテムがあれば、スマートフォンの位置情報を利用して近隣店舗の在庫を調べることもできます。出先で暇になってしまったときなども、UNIQLO IQで自分に合うアイテムを探してすぐに買いに行けますから、時間の有効活用になるのではないでしょうか」(森田氏)
では、与えられた選択肢ではなく、ユーザー独自のキーワードをUNIQLO IQに伝えた場合の反応についてはどうだろうか。