「UNIQLO IQは、ユニクロから一方的にコーディネートを提案するだけでなく、ユーザーの商品レビューも取り入れています。これは一例ですが、UNIQLO IQに『暑い』と話しかけたら『涼しい、とお客様コメントいただいている商品はいかがでしょう』と返ってきて、機能性インナーの『エアリズム』シリーズなどが紹介されました。
つまりUNIQLO IQでは、ユーザーの商品レビューがたまればたまるほど、自分が理想とするアイテムに出会いやすくなると期待できるのです。操作のレスポンスも速いですし、現時点では、これといってケチをつけるところが思い当たりません。むしろ、時間が経つにつれて機能が改良されていく一方になりそうです」(同)
これまでに蓄積された商品レビューは、ユニクロにとってもユーザーにとっても、貴重な財産となっているようである。
“AIスタイリスト”のさらなる実力を測るべく、筆者が試しに「ぽっちゃり」と入力したところ、これをUNIQLO IQは「体型をカバーできる」と置き換え、ゆったりめのトップスを推薦してきた。たとえ生身の人間には相談しにくいようなファッションの悩みでも、UNIQLO IQが相手なら気兼ねしなくて済むのは、非常に大きなメリットだといえそうだ。
ラッキーカラー占いなどの女性ウケしそうな機能も充実
UNIQLO IQはグラフィックTシャツやジーンズ、ギフトに特化した検索機能なども備えており、これらは試験運用を経て新たに加わったものだが、森田氏いわく、ほかにも高く評価している新機能があるという。
「UNIQLO IQには『今日のラッキーカラー』というユニークな機能があり、私が参加したメディア向けの発表会でも話題になっていました。UNIQLO IQが星座占いによってラッキーカラーを教えてくれ、そのカラーのアイテムをピックアップしてくれるのです。男性はあまり関心がなかったとしても、女性のなかには占いが好きだという人もいるでしょう。
なお、これもどちらかというと女性向けの機能だと思うのですが、雑誌の名前を打ち込むと、その雑誌に1カ月以内に掲載されていたアイテムを教えてくれる機能もあります。どの雑誌でどのような服が着られていたかを気にする人は多いですから、対応する雑誌がこれから増えていくとUNIQLO IQはますます便利になりそうですね」(同)
実用性はもちろん、占いのようなオマケ要素まで兼ね備えたUNIQLO IQは「さすがユニクロ」というべき仕上がりなのだろう。最後に、森田氏があえてリクエストするなら、UNIQLO IQに何を望むかを聞いた。
「先ほども説明したように、あくまでもユニクロは、ベーシックなアイテムを取り揃えたブランドです。ただ、それでもオシャレを楽しみたいというユーザーに対し、たとえばモード系の着こなしをUNIQLO IQが提案してみるようなことがあってもいいのかもしれません。
また、48時間以内の売上ランキングを表示する機能はすでに実装されていますが、よりリアルタイム性を高めてみるというのも一つの手かもしれませんね。翌日の気候に適したコーディネートを提案してくれるようなことがあると、UNIQLO IQは今まで以上に重宝されそうです。
ユニクロアプリには各ユーザーの購入履歴が記録されており、それに基づいたおすすめアイテムをUNIQLO IQが紹介してくれます。UNIQLO IQはチャットのログが上限10MBまで残りますし、そのときそのときの自分が、どういったアイテムを求めていたのか振り返れるのも面白いところ。ユニクロのヘビーユーザーにこそ、嬉しいサービスだといえるでしょう」(同)
ユニクロはUNIQLO IQのプレスリリースで「お客様にお使いいただくほど、賢くアップデートしていきます」と謳っており、AIという新技術を採用した意義はそこにあるはずだ。この“AIスタイリスト”がユーザーたちの手により、どこまで進化を遂げることになるのか、この先も動向を追っていきたい。
(文=A4studio)