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エルゴチオネインは赤血球や肝臓などに広く存在しており、細胞を傷つけるラジカルを捕まえて処分する作用、体内でのラジカルの発生を抑制する作用、赤血球の重要成分であるヘモグロビンが酸化して劣化することを抑制する作用などが報告されています。体内で実際に抗酸化物質として機能していることから、エルゴチオネインを上手に摂取すれば確実に効果が表れることが期待できます。
エルゴチオネインの構造式。カルボキシル基とアミノ基があり、実はアミノ酸の一種であることがわかる
2016年の玉川大学農学部の報告によると、エルゴチオネインは食べ物として摂取しても胃腸で分解されにくく、すみやかに全身の臓器や細胞に行きわたります。肝臓など一部の臓器には積極的にエルゴチオネインを取り込むポンプのようなタンパク質もあり、これがマイタケの健康増進作用に大きく寄与しています。
細胞に到着したエルゴチオネインは数週間にわたり、体内にとどまります。これは、体内に一定のエルゴチオネインを保持することで不意の有害物質の取り込みから体を守るためであろうと考えられています。
エルゴチオネインにはほかにも、放射線被ばくによる障害から細胞を保護する作用、微小粒子状物質(PM2.5)に含まれる有害物質から呼吸器を保護する作用、有害化学物質摂取による発がんを抑制する作用、医薬品の副作用から肝臓を守る作用などについて画期的な効果が見いだされており、総合的に私たちの体を有害物から守る効果があります。
このように多数の作用を持つエルゴチオネインは、私たちの体が進化の過程でエルゴチオネインを積極的に利用する準備を整えている点で、ほかの健康に作用する化学物質とは異なり、摂取すればその効果が明確に表れることが期待できます。
ビジネスパーソンにとってとてもありがたい肝臓保護作用もあるので、お酒のおともには旬のキノコやマイタケを積極的にいただきたいものです。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)
【参考資料】
「ナショナル ジオグラフィック 2018年3月号(もっと知りたいキノコの健康効果)」(日経ナショナルジオグラフィック社)
「エルゴチオネインの製造方法」(名古屋大学他)公開特許公報(A)出願番号:2008002938
「エルゴチオネインの再発見」(玉川大学他)
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』 野菜を食べると体によい。牛肉を食べると力が出る。食べ物を食べるだけで健康に影響を及ぼし気分にまで作用する。なんの変哲もない食べ物になぜそんなことができるのか? そんな不思議に迫るべく食べ物の体内動態をちょっと覗いてみよう。
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