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コメ成分には炎症全般を緩和する作用があることが、以前より示唆されていました。そこで、新潟大学の研究グループはコメから抽出した15種類のペプチド(複数のアミノ酸が鎖のように連なった小さなタンパク質断片)溶液を歯周病を発症させたマウスに作用させ、その後の経過をCT画像診断しました。
緑・黒・青の3種類のアミノ酸が結合したペプチドの一例(「Wikipedia」より)
その結果、ある種のコメペプチドに歯肉ポケットが広がることを抑制し、歯を守る作用があることがわかりました。この作用を遺伝子レベルで解析したところ、発見されたコメペプチドには骨の新陳代謝における骨吸収(骨を溶かす作用)や歯肉炎症を誘発する分子の活動を抑制することがわかりました。
前述の通り、歯周病菌の原因は病原菌の繁殖であるため、抗生物質を使用して進行を抑制することがあります。しかし、抗生物質の乱用は薬の効かない耐性菌を生み出す危険性があります。コメは日常的に摂取する食品なので安全性に問題がないのは当然で、さらに歯周病菌などの炎症を抑えるとなれば、新たな歯周病治療と予防に展開できる可能性があります。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)
【参考資料】
「食品成分データベース」(文部科学省)
「食事性炭水化物摂取と死亡率:前向きコホート研究とメタアナリシス」
「米の成分に歯周病の予防効果があることを明らかにしました」(新潟大学)
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