炎上は成功?小沢一郎、GACKT…有名人たちが始めたブロマガって何?
――書いている人たちのモチベーションも高いんでしょうか?
杉本 ニコニコ動画自体、登録ユーザーが2800万人なので、見られている意識は高いかと思います。特に政治系の方は、ネットに苦手意識を持たれているケースが多い。これから有権者になる若者に対して、ネットでアピールしたいけど、単にウェブサイトをつくっただけではダメなことがわかってきた。
ニコニコ動画には、「ニコニコ」という名前にいかがわしさはありつつも、無視できないくらい人がいますし、実際に生放送をやると何かしらの反応が返ってくる。その反応をキャッチアップして、自分たちの今後につなげるという動きもあります。
宮原 ブロマガは、その名の通り、ブログ的に書いた文章を、メールマガジンのように会員全体にメールで通知できるメリットもあります。ブログにも「RSS」という更新を通知する仕組みがありますが、どれくらい使われているのかはあまり見えてこない。それにメルマガのように単に読むだけでなく、またネットに戻ってきて、記事に対してコメントを書くこともできる。コメントに対して書き手が反応するなど、いろいろな広がりが考えられます。
●記事の「炎上」も、ひとつの成功といえるかもしれない
――以前、ドワンゴの記者発表会では、ブロマガについて「プラットフォームのプラットフォームを作る」といった主旨の発言もありました。出版社と著者の関係を想像したんですが、ドワンゴさんは内容にどれくらい関与していくのでしょうか?
宮原 基本はお任せしています。何がよくて何が悪いかという話をしていくと、言論統制に近い感じになってしまう。そうではなく、著者の方がやりたいようにやってもらっている。違法ならともかく、そうじゃない合法の範囲では自己責任にお任せしますというスタンスです。運営元としては、ランキングなどので客観的数値でユーザーに記事をプッシュしたりするかたちで関わっています。
――過激な記事で「炎上」になるケースも考えられます。
杉本 その辺は投稿者にお任せする感じです。それに現状はきちんと連絡がとれる名の知れた方々なので、何か問題があったら話し合いする余地はあると思っています。
宮原 ブログはなんのために書くかというと、まず見てほしいという気持ちが大きい。本当に文章を書きたい人が書いて、見てもらえるという状況が確立すると、今までと違うサービスになれるのでは。それにブロマガは、ここで収益を得られるので独立したメディアになりうる。アフィリエイトや広告料をモチベーションに書いている方もいるかと思いますが、そのアフィリエイトの料率も下がってきている。広告主との関係で、書きにくいこともあったりします。規制のない場所を作って、使い方は各自にお任せというのが今回の流れです。
――とはいえ、ドワンゴ自体に抗議がくる可能性もあります。
杉本 それはうちの管轄ではないという認識です。筆者の方と一蓮托生ではなく、場所を提供する、パーソナルメディアプラットフォームみたいな考え方です。いいか悪いかは読み手の判断で、好みでしかないという。才能のある人が自由にできる環境を全部用意するのが我々の仕事。例えばデヴィ夫人はEPUBを絶対に作らなそうですよね。それがブロマガならできてしまう。
誤解を恐れずに言えば、「炎上」したら、もしかしたらブロマガのひとつの成功といえるのかもしれません。プラットフォームの中にいる方がメディア化して、特定のメディアの規制を受けずにセンセーショナルな話題を外に発信できたということです。ブロマガがそんな場所になるのが理想。そこまで世の中にインパクトを与えられるような存在になれば、当然、何かしらのリスクは出てくるので、対応していきます。
宮原 今でいえば、例えば、GACKTさんがフィルターのかからない情報を出していくという方針の下で、プライベートの情報を書いている。週刊誌で触れられたスキャンダルについて「ブロマガで書くから」と答えたりしています。
――ブロマガは一般ユーザーにも解放するんですか?