では今後、受信料収入を基に運営されるNHKのあり方が変わる可能性はあるのだろうか。
「NHKは毎年、契約や受信料徴収に約700億円の経費をかけており、この金額は年間の受信料収入総額の約1割に当たります。これだけのコストをかけしまっている以上、NHKとしては今さら現在の仕組みを手放すことは難しく、政治を巻き込んででも死守してくるはずです。また、実は民放キー局にとっても、公共放送であるNHKが存続してくれるほうが“いろいろと都合が良い”という事情もあり、競合であるはずの他局から受信料見直しの圧力が生まれることは期待できない。こうしたさまざまな材料を踏まえると、現行の受信料システムがなくなる可能性は極めて低いといえます。
しかし、今回の選挙で泡沫会派だったN国党が議席を獲得したという意味が大きく、多くの国民が抱く『テレビを見ないのにNHKにだけ受信料を払わなければならないのは、やっぱりおかしい』という声は、もはや無視できない状況になりつつあります。改めて国民的な議論、さらには政治の場でも議論されてしかるべきでしょう」(前出と別のテレビ局関係者)
当サイトは、5月2日付記事『NHK受信料、携帯所有者も支払い義務化へ…「不払いだと視聴不可」が実現されない理由』で、NHKのスクランブル放送の実現性について報じていたが、今回、改めて同記事を再掲する。
---以下、再掲---
「NHKですが、ワンセグはされていますか?」
「いったいなんだね、いきなりわけのわからない話をして失礼じゃないか」
「すみません。弊社と契約されていないのはテレビをお持ちではないからだと思うんですが、携帯やスマホのワンセグでテレビ視聴はされていますか?」
「ワンセグってなんだ? まるでわからん」
「失礼しました。それではけっこうです」
これは筆者の知人が、NHK受信料徴収員と交わした会話。昨年のことだった。インターホン越しの会話だった。玄関口でNHK受信料徴収員と話して、首から提げていた携帯電話にワンセグ機能があったため、契約を余儀なくされたというケースもあるようだ。