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一審が重視した国立市議会の債権放棄議決と現市長の対応についても、改選で構成が変わった市議会が15年5月に、前回と逆に損害賠償権の行使を求める決議をしたことを挙げて、「賠償請求が市長の権限濫用や信義則違反になるとは言えない」と判断を転換した。
「全面勝訴」といえる判決について、国立市は判決当日に「判決の詳細を把握していないのでコメントは控える」との談話を出しただけで、詳しい評価を避けている。一方の上原氏の弁護団は「独断と偏見、悪意に基づいて(一審と)正反対の判断が行われた」「このような認定が横行すれば地方自治・住民自治を萎縮させ、発展を阻害することになる」と判決を強く批判している。
犯罪など明らかな違法行為に伴う損害ならともかく、民意と連動した行政運営に起因する賠償責任を首長個人に負わせるべきなのか。上原氏は審理の過程で、その危険性をこう指摘していた。
「気に食わない政治家は、このような裁判で叩き潰すことも可能となります。いかに市民の要請があろうとも、萎縮した行政しかできなくなるのは確実です。誰も、個人で法外な賠償金を支払うリスクは負いたくないからです。そうなると、地方分権が形骸化していくことは必然です」
その影響を受ける一般の市民が、判決を契機に改めて考えるべきテーマだろう。
(文=小石勝朗/ジャーナリスト)
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