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減少するサラ金の多重債務問題、くすぶる規制撤廃議論で過去へ揺り戻し懸念も

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 もし、総量規制に問題があったとすれば、すでに融資を利用していた人に対する強引な返済要求、いわば「貸しはがし」であろう。その実態について、神奈川県に住むAさん(40代主婦・パート社員)は話す。

「私が使っていたのは、クレジットカード1枚とカードローンが1枚。それだけでした。その頃、ショッピングの残高が30万円くらい、キャッシングとカードローンが合わせて50万円くらいでした」

 順調に毎月返済していたAさんだったが、総量規制にかかって、キャッシングとカードローンがまったく利用できなくなってしまった。

「専業主婦と間違われたのかもしれません。でも最初は、いい機会だから借金は全部返してしまおうと思ったんです。収入は月に6万円程度でしたが、返済分はなんとか払えそうでしたから」

 それまでは、キャッシングもカードローンもリボ払いで、それぞれ月額5000円、合計でも1万円支払えばよかった。ところが、いきなり両方とも1万円支払うようにとの請求が来るようになった。

「以前は、残高が減ってくれば支払い金額も減ったので、そうなると思っていたんです。ところが、残高が減っても、相変わらず1万円の請求なんです」

 そうしているうち、支払いできないことがあった。すると、その分が次の月にそっくり上乗せされた。そうなると、もう払うのは難しくなった。「少しでも、払える分でも」と思ってATMにカードを入れると、操作途中でカードが排出された。支払いが3カ月以上滞納していたため、すでに利用できなくなってしまっていたのである。

「パートの収入は、生活費などのやりくりでとても大変なんです。たとえ5000円でも大金です。あんなに一方的な請求をされたら、とても払えません」

 その後、Aさんはカード会社と交渉し、残高を毎月1万円ずつ払っている。カード類は、まったく使えなくなってしまった。

●根強い総量規制見直し論

 このように、借金というのはまだまた「貸す側」の論理が強いものなのである。総量規制によって、かつてのような借金苦が減少してきているとはいえ、不測の事態が起きれば借り手は非常に厳しい状況に追いやられることも珍しくない。

 にもかかわらず、10年以降も総量規制見直し論は根強く残った。自民党は金融部会「小口金融市場に関する小委員会」で法改正に向けた議論を進めており、民主党でも改正派によるワーキングチームが上限利率の引き上げと総量規制見直しで意見が一致していた。これに対して、12年8月頃には、各自治体の弁護士会が次々に貸金業法改悪反対の意見書を公表し、消費者保護の姿勢を強くした。

 このままでは議員立法で法改正に進むのではと危惧されたが、昨年11月2日の時点で小委員会レベルでストップしており、事実上の棚上げ状態になっているようだ。報道によれば、どうやら民主党内での意見対立から、結論が先送りになっているらしい。以後、とくに目立った動きは起きていないようである。

 しかし、当面の危機が去ったとはいえ、アベノミクスによる「効果」が連日報じられ、さらに高い支持率に胸を張る安倍政権が、どんな動きを仕掛けて来るのかわからない。これまでにも、「忘れた頃に」「物陰に隠れるように」、法改正が国会を通過してしまったことなど何度もあるからだ。

BusinessJournal編集部

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