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現役弁護士もハマる『99.9』、実は「あり得る」話だらけ? 司法の核心を突く傑作

文=深笛義也/ライター、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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現役弁護士もハマる『99.9』、実は「あり得る」話だらけ? 司法の核心を突く傑作の画像1『99.9』 HP」より

 嵐・松本潤主演で話題の連続テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士-SEASON2』(TBS系)が高視聴率を獲得し続けている。松本がオヤジギャグを飛ばすというコメディティストながら、ときに「訴因変更」など裁判に詳しい人しか知らないような用語がキーワードとして出てくるなど、さりげなく司法の核心に触れるようなところが人気の秘密なのかもしれない。

 現役の弁護士はこのドラマをどのように見ているのか。毎回欠かさず視聴しているという、弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏から聞いた。

深山は弁護士の鏡?

 ドラマでは、弁護士の深山大翔(松本)や尾崎舞子(木村文乃)がパラリーガルたちを引き連れて、事件の調査を行う。実際に弁護士は、そのようなことを行ったりするものなのだろうか。

「深山は弁護士の鑑です。現場で検証したり、聞き込みとかもしており、素晴らしい。正しい弁護活動です。うちのアソシエイトにも、あそこまでやれと指導しています。ただ実際問題としては、深山が抱えている事件はいつも1件ですが、現実の弁護士は50~60件抱えていたりするので、1つの事件にそんなに労力を割くことはできないのが実情です。ですが、疑問に思ったり、これ知りたいなって思ったら、やはり深山のようにフィールドワークをする、外に出て証拠を集めるというのは正しい姿です。

 刑事事件の裁判で無実を争うというのは、全体の10~20パーセントくらいあります。ただ、そのなかのほとんどが実際には有罪なわけです。覚醒剤の使用で捕まって尿反応も出ているのに、『いや、これはキムチを大量に食べたからだ』などと言ったりする。弁護人というのは依頼者の利益を守るものですから、被告の主張を法廷では展開しますが、本当は有罪だとわかっているので、そんな場合は調査などしません。ガチで無罪を争うのは1パーセントに満たないし、それで無罪になるのは0.1パーセント。それで有罪率が99.9パーセントということで、ドラマのタイトルになっているわけです。

 ガチで争う裁判については、情熱を持った弁護士は調査をしっかりやってらっしゃいます。刑事事件の大家と言われているのが、法律事務所ヒロナカの弘中惇一郎先生です。ロス疑惑では三浦和義被告の無罪を勝ち取り、障害者郵便制度悪用の疑いで被告となった厚生労働省・村木厚子局長の無罪を勝ち取り、陸山会事件で被告となった小沢一郎の無罪を勝ち取っています。本当に尊敬できる先生です。ヒロナカに所属している若い先生たちは、深山がドラマでやっているような、聞き込み、現場調査をやってらっしゃるっと聞きます」

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