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そのことによって機はゴーアラウンドモードに入り急上昇を始めるが、パイロットは天気も良く目の前に見えている空港に着陸すべく操縦桿を押して降下しようとした。しかし、コンピューターはその力を誤りと判断、さらに急上昇させるべく機首を上げ、最後に失速によって地面に叩きつけられることになったのである。パイロットと自動操縦装置とのこの闘いは空港手前の名古屋市上空で始まっていて、最悪人口密集地域に墜落して住民を巻き込む二次被害を出すところであった。
この例のように、パイロットの誤操縦で何が起きるかわからないのがハイテク機の弱点でもある。国際線で羽田空港にやってくる航空会社のなかには、聞いたことのないようなLCCもあり、都心の位置や障害物を熟知していないパイロットも多数いるだろう。
このような事情も考慮して、世界の大空港は人口密集地域を避け、郊外に設置されているところが多い。
部品や氷が落下して人に直撃?
次に落下物による被害の予想について考えてみたい。
近年、マスコミでもよく取り上げられる航空機の部品やパネルの落下は、国交省によれば2009年から2016年まで437件発生している。国交省は新ルートにかかわる地域の住民説明会で、国内外の航空会社に整備を徹底させ落下物をなくすと説明しているが、現場を知っている者からすれば絵空事でしかなく、住民を実現不可能な対策で納得させることは欺瞞的といわざるを得ない。
直近でも、5月24日に熊本を飛び立った日航機がエンジンのタービンブレードを破損、その金属片が益城町の病院などに136個落下し、病院のガラスが割れ、車3台にも直撃した事例がある。
そしてさらに防ぐことのできない落下物に、氷の塊がある。これは雪や雨のなかを離陸した航空機が、長時間マイナス50度にもなる上空を飛行することによって足回りや水抜きドレインの穴などにできる氷塊が、進入時に車輪を出したタイミングや振動で落下するもので、大きいものでは直径10センチ以上にもなる。
成田空港では、報告を受けたものだけでこの10年で19回を数え、農家の屋根やビニールハウスを直撃した被害も出ている。このような氷塊が都心で落下すると、人的被害の可能性も大である。
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