東京23区内の賃貸住宅が家賃2万円台!検索のカギは「駅徒歩15分以内」「築21年」
5.「※告知事項あり」なら半額
究極の“ワケアリ”と言えば、いわゆる「事故物件」を思い浮かべる人が多いだろう。居住者が部屋で自殺した、病気等で亡くなって発見が遅れた、殺人事件現場になったなど、普通に貸そうとしても、なかなか借り手がつかない部屋は、それなりに下げた家賃で入居者を募集するしかない。
ある賃貸サイトで「2年間賃料1万円ダウン」をうたった物件を発見した。その物件に関する注記欄には小さく「※告知事項あり」とあったので、掲載している業者に電話して聞くと、案の定「居住者がお亡くなりになられた物件です」とのこと。
免許を持った宅建業者は、不幸な事情も重要事項説明のひとつとして必ず客に告知しなければならないため、それを隠して募集することはできない。
「殺人事件が起きた現場」に住むのは無理という人は多いと思われるが、前住居人が病死していたという程度なら気にならない人もいるだろう。何しろ、その痕跡が一切残らないよう改装されているため、精神的な問題を除けば実質的なデメリットはない。安さを最優先にする人にとっては魅力的な物件かもしれない。
実は、こういった事故物件が簡単に見つかるのが、公共住宅である。東京都の都営住宅を例に取ると、通常の定期募集とは別に、「孤独死で発見が遅れた住宅」「自殺等があった住戸」を意味する「特定物件」の募集が定期的に行われている。
その募集情報を見ると、都心の臨海地域で駅まで徒歩数分の3DKの物件が、通常は家賃8万4000円のところが、なんとその半額の4万2000円だったりするから驚く。
この特定物件が通常の募集と大きく異なるのは、原則として先着順である点だ。つまり、数十倍、数百倍に上ることもある抽選倍率を突破しなくても、一定の申込資格を満たしていさえすれば、誰でも入居できるのである。
東京都の特定物件は、家賃軽減期間が原則として3年間。その期間中、激安家賃になるため、入居できれば間違いなくオトクである。かつて「公団」と呼ばれていた、UR都市機構が運営している賃貸住宅でも、入居から1~3年間の期間限定ではあるが、事故物件のため家賃が半額になる「特別募集住宅」があり、こちらももちろん先着順。
いずれもウェブサイトに掲載された情報はすぐに古くなるため、興味のある人は専用窓口を調べ、そちらに直接問い合わせするといいだろう。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)