捜索令状に記された織田代表の名前
その掘り起こし作業に当たった関係者によれば、逮捕監禁致死容疑によって発行された捜索令状に記載された被疑者名は、任侠山口組・織田絆誠代表となっていたという。掘り起こした場所も、織田代表の関係先という扱いだったようだ。
「約30人の捜査員らは、掘り起こし作業が続けられる現場近くでテントを張り、そこで食事を済ますなど、3日間にわたり徹底した捜査が続けられました。その場所は長野市内にある産業廃棄物業者が所有している土地で、一説にはその業者と任侠山口組幹部が昵懇にしている間柄といわれています。ただ、結論からいえば、埋められたゴミ以外、何も出てきていません」(地元記者)
その後、京都府警は掘り起こした場所にブルーシートを敷き、また現地を訪れることを告げて長野県を後にしたという。
実は、今年の春先にも捜査員が地蔵峠を訪れ、今回掘り起こした場所の写真などを写して帰っていたのだ。その時から、この場所を掘り起こす方針であることが決められていたのではないかとみられている。
しかし、なぜ京都府警は、産業廃棄物業者が所有する処分場に松本さんが埋められていると考え、土砂を掘り起こしたのか。
「関係者から確固たる証言を取れていないといわれているが、任侠山口組系の組員が口を割っているという話がある。それは長野県に住むNという人物で、過去にはその産業廃棄物業者で働いていたことがあり、その時には廃棄物の焼却担当だったという噂も出ている。京都府警ではNの行方も追っているらしい」(業界関係者)
これもあくまで噂でしかないのだが、松本さんの殺害に関与した人物が別の事件で服役した際に、自責の念に耐えられなくなり、事件について口にし出したという話も飛び交っている。
どちらにしても、なんらかの証言があったからこそ、今回の掘り起こしが行われたのであろう。
そして、逮捕監禁致死容疑の捜索令状が織田代表の名前で発行されたのが事実であれば、同代表が事件に関与している疑いが強いと、捜査当局も裁判所も考えているのではないか。要するに、同容疑で織田代表が逮捕されてもおかしくないと段階に来ているという見方ができる。
これからの季節、地蔵峠は積雪がすごく、次に掘り起こし直すとしても、春先となる可能性がある。そうなると、当面は遺体が見つかることもないだろう。
それでも京都府警は、六代目山口組・髙山清司若頭を、のちに国策ともいわれた恐喝事件で逮捕、起訴し、刑務所へと送り込んだ実績がある。迷宮入りが囁かれた「鳳事件」も、多少強引に織田代表へと捜査のメスを向けているのではないか。
(文=沖田臥竜/作家)