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片田珠美「精神科女医のたわごと」

小室圭さん、面会した母の元婚約者に謝罪せず…自己正当化・元皇族の夫という特権意識

文=片田珠美/精神科医
小室圭さん、面会した母の元婚約者に謝罪せず…自己正当化・元皇族の夫という特権意識の画像1
宮内庁のHPより

 秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さんと結婚した小室圭さんが、11月12日、母親の佳代さんの元婚約者と面会し、約400万円の「解決金」を支払うことで金銭トラブルの解決に合意したと報じられている。

 この「直接交渉」についての元婚約者の独占手記が「FRIDAYデジタル」(11月13日配信/講談社)に掲載されており、それを読んで、小室さんはやはり“絶対謝らない人”なのだと改めて痛感した。

 というのも、手記で元婚約者は「交渉を通じて向こうから謝罪の言葉のようなものはありませんでした」と述べているからである。一方、小室さんが「母と一方的に婚約破棄をしたこと、そして様々なことを週刊誌に暴露したことは大変悲しいです」と言い、何度も「悲しい」と繰り返したので、元婚約者は「それは申し訳なかった」と頭を下げたという。

 手記に書かれていることが事実とすれば、小室さんは“絶対謝らない人”といえる。こういう人はどこにでもいる。なぜ謝らないのだろうか。

 一般に次の4つの心理がからみ合っていると考えられる。

1)  自己正当化

2)  「謝ったら負け」「謝ったら損」という思い込み

3)  「自分は特別な人間だから少々のことは許される」という特権意識

4)  罪悪感を覚えない「ゲミュートローゼ」

 まず、自己正当化することが大きい。この自己正当化の傾向は誰にでも多かれ少なかれ認められる。誰だって、自分が過ちを犯したとも、間違っているとも思いたくないからだ。むしろ、「自分は悪くない」と思い込んでいたいはずだ。

 ただ、自己正当化の傾向が人一倍強い人が存在するのはたしかであり、小室さんもその1人のように見える。こういうタイプは、「暗点化 ( scotomisation )」が起きやすい。

「暗点化 」とは、自分が経験したにもかかわらず、不都合な事実や思い出したくない出来事が意識からすっぽり抜け落ちる現象であり、フランスの神経学者、シャルコーが見出した。自分にとって都合の悪いことや望ましくないことが意識にのぼってこないようにして、葛藤を避けるための無意識のメカニズムと考えられる。

 厄介なのは、「暗点化」による自己正当化が知らず知らずのうちに起き、その自覚が本人にないことだ。嘘であれば、嘘をついているという自覚があるが、自覚がない分、嘘よりも自己正当化のほうが厄介といえる。

 母親が元婚約者から受け取ったお金は、借金ではなく贈与だと小室さんは主張し続け、今年4月に出した文書でも元婚約者の「返してもらうつもりはなかった」という言葉に23回も言及したが、これも「暗点化」による自己正当化ではないだろうか。

 また、「謝ったら負け」「謝ったら損」と思い込んでいて謝らない人も少なくない。こういう人は、謝ったら自分の過ちや間違いを認めることになるので、さらに厳しく追及されたり、多額の金銭を要求されたりするのではないかと恐れている。この恐怖から決して謝らない。むしろ、相手の落ち度をあげつらって、相手を一段劣った立場にとどめておき、さらなる追及や要求を封じ込めようとする。

 小室さんが、母親の元婚約者との「直接交渉」の際、「学生の頃はAさん(元婚約者)のことを紳士だと思っていました。しかしAさんがやっていることは、紳士だったAさんとは乖離していませんか。せめて一本、直接連絡をしてほしかった」と言った背景にも、元婚約者の落ち度を指摘して、さらなる金銭の要求を防ぎたいという思惑があったように私の目には映る。

二重の特権意識と「ゲミュートローゼ」

 さらに、特権意識が強く、「普通の人なら遠慮するようなことでも自分には実行する権利があり、許されるはず」と思い込んでいる人も謝らない。たとえば、高学歴エリートや大富豪の御曹司がスキャンダルや不祥事、場合によっては犯罪を起こしても謝らないのは、この心理による。

 一方、小室さんは、この連載で以前指摘したように<例外者>であり、「裏返しの特権意識」とでも呼ぶべきものを抱いている可能性が高い。

 <例外者>は、子どもの頃に味わった体験や苦悩ゆえに「自分はもう十分に苦しんできたし、不自由な思いをしてきた」と感じており、「これはひどく不公正なことだ。自分は不利益をこうむったのだから、あらゆる損害賠償を求める権利を持っているはず」と思い込んでいる。だからこそ、元婚約者が用立ててくれたお金を「損害賠償」と受け止め、贈与と主張し続けたというのが私の見立てである。

 そのうえ、眞子さんとの結婚によって「元皇族の夫」になったのだから、「ストレートな特権意識」も小室さんが抱くようになったとしても不思議ではない。こうして、「裏返しの特権意識」と「ストレートな特権意識」、つまり二重の特権意識を抱くようになったからこそ、謝らないのだと思う。

 おまけに、この連載で繰り返し指摘してきたように、小室さんは罪悪感を覚えず、反省も後悔もしない、「ゲミュートローゼ」である可能性が高い。こういう人は、「自分が悪い」とは決して思わないので、謝らないのは当然だろう。

 元婚約者の手記はさまざまな意味で小室さんの本性を露呈させたという点で、非常に興味深かった。私がもう1つ注目するのは、元婚約者が「私が佳代さんとの婚約を解消したのは、度重なるおカネの無心に耐えられなくなったことが原因です」と述べていることである。

 今回、解決金を支払う形で金銭トラブルを解決できたのは、その原資があったからだろう。原資として考えられるのは、どう見ても眞子さんの持参金だ。この成功体験によって、小室さんに「どうせ妻が何とかしてくれるだろう」という甘えが生まれ、司法試験の勉強に身が入らなくなるのではないか、そして母親の佳代さんからの「おカネの無心」が続くのではないかと危惧せずにはいられない。

(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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