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有給休暇の申請を却下していれば違法
「育休をとったから」ということを理由に関西転勤を命じたかどうか、その真意は不明なのでなんとも言えませんが、まず会社は組織の維持運営のための企業統治権を有しており、このなかには当然に人事権も含まれているので、「転勤命令」自体はなんの問題もありません。
ただし、その転勤が、業務上の必要性がなかったり、恣意によるものであったり、社員として、通常であれば受け入れるべきという程度を超えたもの(甘受すべき程度を超える)であったりした場合には、違法にもなります。
とはいえ、堂々と「育休を取ったから転勤命令を出した」とは言えませんし、カネカのような大企業であれば、転勤の必要性などいくらでも後知恵的につくれるでしょうから、今回の転勤命令を違法ということはできないでしょう。
次に、退職する社員がよく行う「退職日までに残った有給を使うこと」が認められなかった点は問題です。
有給の申請については、会社側の「時季変更権」の対象にならない限り、無条件に認められなければなりません。要するに、繁忙期など、会社にとって客観的に都合の悪いときの有給申請以外は認めなければならないわけです。
今回は、流れからして、「転勤を断って退職しやがって。挙句に有給よこせとはふざけるな」という意図がみえみえなので、有給を認めなかったことは違法となります。
今回の件が“パタハラ”になるのかどうかはわかりませんが、会社が「社員の行動」を根に持って意地悪をするという構図は恥ずかしすぎます。大企業らしい堂々とした応対をしてほしいものです。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)
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