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暴走をストップするために(3) 宇都宮健児弁護士に聞く

恐怖の秘密保護法、情報を聞くだけで処罰、国民を重要情報から遮断~日弁連元会長が警鐘

恐怖の秘密保護法、情報を聞くだけで処罰、国民を重要情報から遮断~日弁連元会長が警鐘の画像1宇都宮健児弁護士
 昨年7月の参議院選挙の結果、衆参両院で与党が多数を占めることとなり、安倍政権は強気の姿勢で12月に特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)を成立させた。

 今回は、日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児弁護士に、同法の問題点について聞いた。

●従来から不十分だった情報開示

 特定秘密保護法が成立してしまいましたが、そんな法律がなくても、今までにも日本は数多くの情報を隠してきました。そして、政府はそれらをいまだに明らかにしていません。

 例えば最近では、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、メルトダウン(炉心溶融)していた事実や、SPEEDI(スピーディ/緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)が予測した情報が隠されていたことが発覚しました。

 また、沖縄返還交渉における沖縄密約の存在を報道した記者が秘密漏洩の罪に問われ、逮捕され有罪とされた事件がありました。沖縄返還に当たって、米軍基地の移転費400万ドルを米軍が負担する表向きの取り決めだったのですが、実はその費用を日本側が負担するという密約があったことを毎日新聞の西山太吉記者が暴いたのです。

 さらに、「核抜き本土並み」【編註:1972年の沖縄返還に当たって、核を持ち込まないとする方針】と言われていましたが、非常時においては核を持ち込める密約もありました。アメリカが外交文書を発表し、密約を公式に認めているにもかかわらず、日本政府はいまだに明らかにしていません。

●最高裁判事がアメリカに裁判情報を漏洩

 ほかにも砂川事件があります。1957年に、米軍立川基地の拡張反対運動をしている7人が日米安保条約に基づく刑事特別法で逮捕されて、東京地方裁判所に起訴されました。1959年に無罪判決が下されますが、この裁判を担当した伊達秋雄裁判長にちなみ、伊達判決と呼ばれています。

 サンフランシスコ講和条約が発効し、1952年4月28日に日本は独立国家になっていたはずです。伊達氏は、米軍の存在を認める日米安全保障条約自体が憲法9条に違反するとし、日米安保に基づく刑事特別法は憲法違反との判断を下しました。

 通常、地裁の判決が不服であれば、国側・検察は高等裁判所に控訴するはずですが、実際には高裁を飛ばして最高裁に跳躍上告したのです。極めて異例な措置であり、最高裁判所に係属することになりました。裁判長は田中耕太郎・最高裁長官が務めたのですが、裁判係属中にダグラス・マッカーサー二世駐日米大使(当時)の右腕とされたウィリアム・レンハート駐日米大使館首席公使(当時)と会い、裁判官全員一致で原判決を破棄する旨を伝えていたのです。

 それは、マッカーサー二世駐日米大使が米国務長官に電報を打っていたことを、布川玲子・元山梨学院大学教授が米国立公文書館へ情報公開請求をしたことで明らかになりました。最高裁長官と米公使との密会については、以前から報道されていたのですが、米国の公文書が手に入ったことで、それが証明されたのです。

BusinessJournal編集部

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