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暴走をストップするために(3) 宇都宮健児弁護士に聞く

恐怖の秘密保護法、情報を聞くだけで処罰、国民を重要情報から遮断~日弁連元会長が警鐘

 そして共同通信の世論調査で、特定秘密保護法の採決後に安倍政権の支持率は5割を切りました。同法の廃止・修正が必要と考える人は、合わせて8割ほどいます。このまま施行してもよいと考える人は1割もいません。不安に感じると答えた人は7割くらいいました。反対運動が、安倍政権に相当ダメージを与えたのは間違いないと思います。さらに運動を広げ、継続させることが重要です。

「同質の集団の集まりは和(足し算)にしかならないが、異質の集団の集まりは積(掛け算)になる」という格言があります。今まで接点のなかった人が一緒に運動に取り組めれば、掛け算になって運動が広がっていきます。とはいえ、異質の集団をまとめるのは難しい場合があります。下手をすれば分裂に分裂を重ねる恐れもあります。しかし、それを乗り越えられるかどうかが重要だと思うのです。

●小さな力をたくさん集めて大きな運動に

 2月の都知事選が終わったあと、立候補者のひとりであった私は、各メディアからインタビューを受けましたが、その際「アンケートでは8割くらいが原発反対でしたが、なぜ原発推進の自民党が勝ったと思いますか」という質問がありました。

 私は、アンケートで原発反対と答えた8割の人たちには、温度差がかなりあると見ています。官邸前行動やさまざまな脱原発集会に参加している人、福島の人たちを支援している人、都内で放射線量を計っている人、安全な給食の実現に取り組んでいる人などは、関心が高く、原発に反対している政党を支持しようとしていますが、そうではない人も多くいます。「原発がなくなると電気代が高くなる」と言われて動揺するような人も、「できれば原発はないほうがいい」と回答しているのです。

「あなたは何を重視して投票しますか」との問いには、30~40%は雇用と景気と答えています。20%くらいが福祉・医療。それに比べると、原発問題も憲法問題も非常に優先度は低いのです。

 そういう人たちに届く運動を提起する必要があります。毎日の生活や仕事に追われている人たちにどう伝えるのか、というのが今後の課題です。

 集団的自衛権をめぐる憲法問題でも、年配の人に「平和憲法を守ろう」と言うと、すんなりと納得しますが、若い人はそうではありません。若い人を運動に参加させる工夫が必要です。

 いざ戦争が始まれば、戦地に送られるのは若い人たちであり、当事者になるのです。この点を強調して伝えたほうがいいと考えています。

 安倍政権は憲法改悪政策を推進していますが、問題点がだんだん明らかになってきたので、逆に戦いやすい政権であると思います。のらりくらりとした政権だと見極めが難しいですが、明らかに問題のある反労働者的、反市民的な政策を打ち出してきているので、反対運動はやりやすい。

 私の好きな言葉で、「一人一人は微力ではあっても、決して無力じゃない」というのがあります。無力はどれだけ集まってもゼロですが、微力はたくさん集まれば大きな力になるのです。

 そういうことを自覚してつながりをつくれば、圧倒的多数になるのは間違いない。このような展望をもって運動を進め、2014年が反転攻勢の大きな転換点になればと思います。
(文=林克明/ノンフィクションライター)

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