この点について岩屋議員は、「基本的にIRは、さまざまな施設が一定のエリアに一体として整備され、それによって相乗効果が生み出されることを期待しております。ただ、既存にいろいろなインフラが整っているというところもあると思いますが、その一体性についての判断については、構成する施設間の距離だけではなくて、アクセスのよさや運営の効率性などを総合的に勘案して判断されていく」と答弁している。
この答弁に基づき、アクセスのよさや運営の効率性などを総合的に勘案して、エリアの一体性をある程度緩和して考えるならば、いわゆる地方型IRも実現可能で、さらには、複数の自治体にまたがる広域連携も十分に可能性があるということになろう。
岩屋議員は、自治体がカジノ施設を設置できる区域として国から認定を受けるための申請につき、「地域住民の理解を得なくてはならないので、例えば、申請に当たって、議会の同意を要件とするというようなことも考えられる」と答弁している。
筆者も、議会の同意を要件とすることに基本的には賛成である。ただ、IR推進法およびIR実施法が成立した後においても、誘致自治体の議会の同意を阻止すべく、カジノ反対派が全国から結集し、根強い反対運動が集中的かつ継続的に行われることが予想される。カジノについて、反対派が存在しなくなることは絶対にあり得ないし、また、反対活動が否定されるべきものでもない。誘致自治体には、粘り強い対話と説得が求められる。
●オンラインカジノは認められるか?
IR推進法案においては、カジノ施設を設置できる「特定複合観光施設区域」の認定要件は規定されておらず、実施法で規定されることになっている。
この点に関し大熊議員は、「ネット連動型のサービスを認めてしまった場合、設置区域では収まらないことになる」と疑問を投げ、それに対し柿沢議員は、「IRを設置する目的は、訪日促進、観光振興であり、また雇用創出効果が高いという点に着目をしている部分もあります。その点で顕著な効果があると考えるからこそ、IRの設置を進めている。ネット、オンラインカジノでは、観光客を日本に誘致するという目的が達せられない。また、仮に海外にサーバーを設置してしまえば、お金の動きも把握できず、税の徴収が難しくなりかねない」と述べ、オンラインカジノを設置することは想定していないとの考えを示した。