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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」~“家庭内地面師”!?

姉に騙され両親の遺産を“全部持っていかれた”!「ウチの親族は揉めない」が悲劇を招く!

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表、一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表

 ところで、現実的に自宅しか財産がないというケースはよくあることだ。そうした場合、相続人同士で分割するのは困難だ。

 そんなときのために覚えておきたいのが“代償分割”制度だ。たとえば、自宅を特定の相続人が相続し、他の相続人に相続すべき遺産がない場合、“代償金”を支払う制度だ。この代償金として活用されるのが生命保険だ。この制度や生命保険の活用を知らないばかりに、代償金が支払えずにトラブルになっている例も少なくない。先の例のようなケースは、一度、保険関係者に相談することをお勧めしたい。

「遠くの親戚より近くの専門家」

 代償分割制度以外にも、簡単にできる対策はある。そのためにも“家庭内地面師”に泣いた実例の共通項を探ってみたい。

 まず、「うちだけは争いは絶対に起こらない」「うちの親族は何かあっても穏便に話し合うタイプ」と親族間のトラブルが起こることなど、まったく予想していなかったことだ。親族を盲目的に信じることは、時として悲劇を生む場合もある。

 さらにいえば、法律の知識がないことだ。また、「おかしい」と思っても専門家に相談をしないのは、親族を疑ってはいけないと思っているからなのだろうか。「相談に行ったと他の親族に知れたら、揉める」という人もいるが、後悔しないためにどんな対策やリスクがあるか、知っておくべきだろう。

 なかには、無料相談には行くが、解決や手続きなどには費用がかかることを知って、グズグズしているうちに泥沼化したり、親が亡くなって対策がとれなかったりした例もある。気持ちはわかるが、人の寿命はいつどうなるかわからない。特に親が認知症を発症すると、選択肢も限られてしまうことは忘れずにいたい。

 相談で注意したいのは、いくら近所に物知りの人がいるからといっても、遺産相続は井戸端会議で終わる話ではない。「私が間に入りますから」と弁護士資格を持たない人の言うことを聞いているうちに、親族の関係が泥沼化し、結局、調停に持ち込まれた例もある。裁判所や調停で“和解”することになったとしても、実生活では絶縁になったケースも珍しくない。

 不動産相続は本当に奥が深く、同じ事例は2つとしてない。しかも単純な売買案件としてではなく、法律や税金、さらには金銭面や売却などの時期も総合的に検討する必要がある。法律対策はしていたが、納税資金の準備ができていなかったとか、税金対策はできたが、法律的な対策をしていなかったので、親族で揉めたというのは、よく耳にする。

 親族間のトラブル防止のためには、近視眼的ではなく、長期的・包括的に考えることが非常に重要となる。また親族同士だとお互いの価値観や感情のぶつかり合いになってしまいがちだ。そうならないためにも、弁護士や税理士や保険関係者に相談することが重要であることは間違いない。

「遠くの親戚より近くの他人」というが、取り返しのつかない後悔をしないためにも「遠くの親戚より近くの専門家」が、これからの新常識になるかもしれない。

(文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表、一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表)

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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