ただし、Aさんは今気付くことができたので、ラッキーです。これから新しい経験を積んでいけばいいので、十分間に合うと思います。しかし、もしAさんが何も気付かずに進んでいってしまったら、将来的に資産は“増える”どころか、先細りだったことでしょう。資産とは、単に“お金”だけではないからです。
自分の資産には、知識やものの考え方、興味の広さ、深さ、面白さなどのほかに、大事な人とのつながりなども含まれます。そして、これらは“学び”によって得られることが多々あります。“学び”は、今の仕事のスキルアップだけでなく、将来的な資産アップにもつながるのです。
豊かな人生を送るには、ひたすら我慢してお金を貯めこむのではなく、適切にお金を貯めながら、同時に将来的な資産を増やしていくことが必要なのではないでしょうか。
最大40%の受講費が戻る「教育訓練給付」とは
学びや資格取得のための費用は高いものですが、知っておきたい制度に「教育訓練給付」があります。これは、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受けた場合に、受講費の一部が戻ってくるというものです。「一般教育訓練給付金」(いわば“基礎コース”)と「専門実践教育訓練給付金」(いわば“専門コース”)の2種類があります。
前者は、受講費の20%が戻ります。ただし、支給額の上限は10万円。雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回の場合は1年以上)の在職者(離職者の場合は、離職後1年以内に受講をスタートした人)が申請できます。もし、10万円の講座を受けた場合、2万円が戻ってくるわけです。50万円の講座なら、10万円が戻ります。
後者は、受講費の40%が戻ります。ただし、支給額の上限は年間32万円(最大3年間で96万円が上限)。さらに、受講修了後1年以内に資格取得などをして就職した場合は、受講費の20%(年間の上限16万円まで)が追加で支給されます。雇用保険の被保険者期間が10年以上(初回の場合は2年以上)の在職者(離職者の場合は、離職後1年以内に受講をスタートした人)が申請できます。
看護師や美容師、保育士、栄養士、調理師などの資格取得費用のほか、指定する大学院の費用なども含まれます。1年間で80万円の講座を受けた場合、32万円が戻ってくるわけです。
どんな講座が指定されているかは、ハローワークで一覧表が見られるほか、ウェブ上の「教育訓練講座検索システム」でも調べることができます。何かを勉強したいと思ったら、ぜひ一度チェックしてみましょう。