部長・課長になれない人が欠落していること…管理職になれる人が特に意識していること
日本企業の海外拠点には、日本から派遣される管理職は少ないのが普通ですから、一人の赴任者が複数の部門の管理業務を兼任することは多いのです。そのため自分の専門といえる部門では相当に健闘していても、他部門を管理するスキルの不足で実績が出せず、本社からマイナス評価を受けてしまうケースは珍しくありません。あまり言葉も通じない国での仕事になることからも、やはりできるだけ余裕を持って学んでおきたいのがマネジメントスキルです。
ベンチマークできる人を探してみる
学ぶことが多くて混乱しそうな人は、身近なところから、すでに出世した人を思い浮かべてみましょう。出世した人は、なんらかの功績を持っているものです。たとえば営業部門の人であれば、重要な取引先を新規開拓したことがあったり、同部門におけるなんらかの目立った実績があるのが普通です。
取締役になった人が、いままでどんなキャリアを歩んできたのか、周囲の人たちにも尋ねたりしながら研究してみましょう。そうすると自分の勤める会社のなかに、どんな実績を持って出世したパターンがあるのか、さまざまな例を見て取ることができるでしょう。これまで漠然と知っていた以上に、出世した人たちがどんな活躍をしてきたかを理解することができます。
そうした人たちのなかから、モデルを選んでベンチマーク(自分との比較対象として研究・分析)してみましょう。私たちも組織というピラミッドの上に向かっていくときには、なんらかの実績を持って引き上げられることになります。どんなことをどんなスケールで、どんなタイミングで行っていけばそうなるのか、ベンチマークした人たちの活躍からヒントを得ることができるでしょう。
同様に、これから出世しそうな人もベンチマークの対象として考えましょう。周囲を見回して、いずれ出世しそうな人は思い当たるでしょうか。そうした人がいれば、なぜそう思えるのか、よく考えてみたいところです。
その人の強み、スキル、実績といったことについて書き出してみることをお勧めします。
その人物と比較して、自分は何を強化していくべきと思えるでしょうか。真似すべきことについても考えることができるでしょう。
これらのことを意識すると、出世する(管理職になる)ことに対するイメージが、具体的かつ現実的になっていくものです。ぜひよく考えながら試してみましょう。きっと価値のある取り組みになるはずです。
(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)