ひとりの男が大企業優遇の日本を変える!外務省も後援、世界中の中小製造巻き込みに成功!
第1回大会は、緑川氏が仕掛けた通り、当日夜にはNHKのニュース番組で取り上げられた。その後、新聞や雑誌、インターネットニュースでも次々に取り上げられ、瞬く間に全国に知れ渡るようになった。そしてついには、今年の世界コマ大戦へとつながっていったのだ。
民間主導のオープンな企画が、日本全国のみならず世界の製造業を巻き込む大会となったのは、長い日本の製造業でも史上初の出来事ではないだろうか。役所や既存組織主導の企画は数多くあるが、予算が削られたり、補助金がなくなって自然消滅するものが多い。参加する側も「どうせそんなものだろう」と、付き合い程度で参加するので、どうしても意欲も低下する。
しかし世界コマ大戦は、そんな雰囲気がまるでない。参加企業は本業のかたわら寝る時間も惜しんでコマを研究し、試作品も何十と製作し、改良に改良を加えた自信作で本大会に臨む。技術とプライドをかけた真剣勝負である。
コマ大戦開催の真の目的
そんな世界コマ大戦を開催する目的について、緑川氏は次のように語る。
「中小企業はどうしても下請け意識から抜け出ることができません。この大会を通じて、積極的に自ら情報発信を行い、全国の製造業同士が交流を行うことで、中小企業全体を盛り上げることが最大の目的なのです」
実際、参加した企業には仕事の依頼が舞い込むことが少なくないという。参加企業にとっては、自社の技術力を披露する格好の場となっているのだ。さらに製造業同士の横のつながりができることで、新しいチャンスが生まれるという副産物もある。下請けでは自社製品がどのように使われているかわからないことも多い。しかし、世界コマ大戦では、目の前で自社製品が使われているのを目にするため、現場の製造意欲も向上するという。これは既存の展示会では実現できないことだ。
第1回から今回の世界大会まで、関係者はずっと手弁当で運営している。今では多くの協賛金が集まるようになったが、今大会では1500万円の経費がかかっており、利益は出ていないという。それでもやり続けるのは、緑川氏の熱い思い=志があるからだ。