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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

理不尽な暴言吐く老人は寿命が短い?新聞や本を読まない人も死亡率が高い!

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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 実はこの能力が、人間の余命と深くかかわっている。ベースラインで4点満点のグループと3点未満のグループに分け、その後7年間追跡調査した。その結果、3点未満のグループの総死亡リスク(死亡率)は、4点のグループの約2倍の値を示していた。念を押すが、この1200名は一見するととても元気で明晰なシニアばかりである(平均年齢は約70歳)。

 この関係は、余命の最大の規定項目の年齢、女性は男性より余命が長いという男女差、喫煙、運動習慣、からだの栄養状態など余命を決める多くの項目の影響を考慮しても変わることはない。そして誤差や偶然であらわれたことをほぼ完全に否定できるとてもしっかりした関係である。

 このような関係は、身の回りの生活をコントロールする能力である「手段的自立」や隣人を愛おしむ能力である「社会的役割」の能力ではみられることはない。つまり、「知的能動性」の能力にみられる特徴的な関係である。「知的能動性」の能力が、他の2つの能力に比べて秀でて余命に影響するということは、とても大切にしなければならない能力であることを意味している。

 換言すれば、シニア世代の余命は人間としての素敵度で決まるということである。このデータは我々の人生の歩み方に対してとても大きな示唆を与えていると思う。

 これは人間の余命のミステリアスな部分である。この事実は医学では説明できない。いや、しようとしないほうがいいのかもしれない。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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