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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

高齢者、要介護へ「移行し始め」に気がつく&脱出する方法…5つのチェック項目

文=新見正則/医学博士、医師
高齢者、要介護へ「移行し始め」に気がつく&脱出する方法…5つのチェック項目の画像1「Thinkstock」より

 今日はフレイルのお話です。

 まず“常識君”の解説からです。

「フレイルとは、年齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態です。そして体がストレスに弱くなっている状態ですが、早く介入すれば元に戻る可能性があるという点が大切です。高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけではなく、さまざまな合併症を引き起こす可能性があるのです。海外では『Frailty』という英語が使用されていて、直訳は『虚弱』『老衰』『脆弱』になりますが、それらの漢字の意味はFrailtyの意味するところと微妙に齟齬が生じます。

『正しく介入すれば戻る』という意味合いを含んだ日本語がみつからないので、あえて新しい造語としてフレイルを日本老年医学会が提唱したのです。造語をつくっても、概念としては理解できますが、診断基準がないと普及しません。そこで一般的には、(1)体重減少、(2)疲れやすい、(3)歩行速度の低下、(4)筋力の低下、(5)身体活動低下、のうち3つ以上該当するとフレイル、1つまたは2つ該当するときはプレフレイルと判断されます」

“極論君”がコメントします。

「この基準ではまだわかりにくいです」

 常識君の追加です。

「もっと数値化されているのは、以下の基準です。

(1)体重減少は6カ月で、2~3kg以上
(2)筋力低下は握力で男性では26kg未満、女性では18kg未満
(3)疲労感は2週間、わけもなく疲れた感じがする
(4)歩行速度は1m/秒未満
(5)身体活動は、軽い体操や運動、そして定期的なスポーツもやっていない

 3つ以上該当するとフレイル、1つまたは2つ該当するときはプレフレイルと判断されます。こちらは、よりわかりやすいかと思います」

 非常識君のコメントです。

「僕には加齢とともに進む脆弱性、そして老衰への過程のように思えます」

 常識君の解説です。

「別の見方をすれば、健康状態から要介護への移行段階と認識することもできます。そんな移行段階をフレイルと定義して、そこで本人や周りが気がつけば、要介護になるまでの期間を延長することもできるでしょうし、うまくいけばフレイルは可逆的状態なので、健康な状態に戻ることも可能だということです。人のお世話にならずに生きていける健康寿命を延ばそうという意味合いとも理解できます」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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