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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

電波利用料の巨大利権…テレビ局は携帯キャリアの11分の1

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総務大臣の野田聖子氏(写真:ロイター/アフロ)
電波オークション」の導入が俎上に載せられている。


 政府の規制改革推進会議は周波数帯の利用権を競争入札にかける電波オークションの導入について議論を進めており、11月10日からは総務省の電波有効利用成長戦略懇談会の議論も始まった。

 電波オークション導入の目的は、電波の公平かつ有効な活用だ。もともと、これは第1次安倍晋三政権下で当時の菅義偉総務大臣が議論を進めたが、自民党内の反対勢力に潰された経緯がある。また、旧民主党政権時にも導入が検討されたが、やはり野党だった自民党からの反対に遭った。

テレビ局の電波利用料は携帯キャリアの11分の1


 海外では行われている電波オークションだが、日本においては頓挫してしまっているわけだ。そして、そのため大きな利権が生まれているのが実情だ。たとえば、テレビ業界は電波利用料に関して大きな優遇を受けている。

 公共財である電波は、総務省が事業者に割り当て、事業者は電波利用料を支払っている。しかし、テレビ局の電波利用料は携帯電話会社と比べて安すぎることが、以前から問題視されているのだ。

 総務省の「電波利用ホームページ」によると、電波利用料の負担額(平成28年度)は、「携帯電話、BWA、PHS事業者」で、NTTドコモが約208億5400万円、KDDIが約136億5100万円、ソフトバンクが約167億8100万円と、大手3社だけで512億円以上を負担している【※1】。

 一方、「地上テレビジョン放送事業者」を見ると、日本放送協会(NHK)が約22億2100万円、日本テレビ放送網が約5億1400万円、TBSテレビが約4億9200万円、フジテレビジョンが約4億6900万円、テレビ朝日が約4億8600万円、テレビ東京が約4億7000万円となっており、NHKおよび民放5局の合計は46億円強だ。前述した大手携帯キャリア3社の約11分の1の水準である。

 それぞれ一番負担額が大きいNHKとドコモをくらべても、NHKの負担額はドコモの約9分の1だ。放送事業者のほうが通信事業者よりも負担料が安いのは、放送の公共性が認められているためだが、そのわりには放送法に抵触するような偏向報道や宣伝まがいの情報紹介なども見受けられるのが実態である。

 また、NHKの電波利用料は民放各局と比べて1ケタ違うため、一見すると巨額な負担をしているように見える。しかし、これは衛星放送などチャンネル数が多く、全国を網羅しているためであり、特段に負担割合が大きいわけではない。

 現在、電波の割り当ては一種の随意契約になっているが、入札制度にすることで利用料の適正化を図るとともに新規参入を促進するというのが、電波オークションの導入意義だ。

 困るのは、既得権益を失うことになるテレビ局だ。そのため、電波オークションの導入をめぐっては、テレビ局を中心としたメディアが大反発することが予想される。現時点で必要なのは、まず将来的な導入を決定することだろう。

「NHK民営化」の議論が加速か


 また、これはかねて議論されている「NHK民営化」問題ともセットである。広告費に左右されるため経営的に不安定な民放と、受信料によって収入が担保されているNHKは、経営構造がまったく違う。競争原理においてNHKが有利なことは明らかであり、いわば民放は不公平な戦いを強いられているわけだ。

『日中開戦2018 朝鮮半島の先にある危機』

今後の安倍政権の課題だが、まずは北朝鮮の問題、そしてその後には安全保障上の問題として中国の問題がある。中国では、10月の共産党全国大会で、習近平体制がますます磐石なものとなった。そして先祖返り的に「新時代の中国の特色ある社会主義」が推し進められようとしている。今後は、政治的にも経済的にも中国との間にますます軋轢が増えるだろう。そういう意味では、すでに日中間の戦争が始まっているともいえる。

世界各国でも、ナショナリズムを掲げる政党が躍進しており、まさに冷戦時代へ巻き戻った。このような世界の大きな流れを踏まえた上で、あらゆる角度から日本と中国の現状を分析することで、戦争の可能性について探っている。

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