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堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

無理やり笑顔&背筋伸ばし、イライラや気分の落ち込みを解消…体の動作が脳を支配

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
無理やり笑顔&背筋伸ばし、イライラや気分の落ち込みを解消…体の動作が脳を支配の画像1「Thinkstock」より

 皆さん、初めまして。今回から連載を担当させていただくことになりました、明治大学教授の堀田秀吾です。私は普段、大学で研究者として働いているのですが、「飲みの席には這ってでも行け!」を信条としておりまして(そんなタイトルの本も出版しております)、日々社交にも精を出しています。私がお付き合いさせていただいている方々には、経営者、スポーツ選手、芸能関係者などの社会で大きく活躍されている方々も多く、そんな付き合いのなかでいつも感じるのは、そういった方々は皆、すこぶる「元気」だということです。ここでいう「元気」というのは、身体の健康というよりは、やる気、情熱、覇気といった「心の元気」です。「心の元気」は、すべての活力の源泉なのだと常々感じています。

 そもそも現代社会はさまざまな情報が満ちあふれた、いわゆる「ストレス過多社会」であり、私たちは元気を奪われやすい環境に身を置いているのです。 

 そこで私の連載では、そんなストレスに対して科学的にアプローチをして、「ストレス社会」を元気に生き抜く方法をお話していきます!

 これまで人間は、朝早く起きて仕事をして、夜も早く寝るという非常にシンプルな生活を送ってきました。一方、現代人の生活は多種多様で、運動不足や不規則な生活といった、複雑な生活に変化しています。このように、これまで先人たちが当然に送ってきた「人間らしい生活」は、もはや私たち現代人にとっては極めて稀なものになっているのです。つまり、我々人間が生物として長く送ってきた生活が変化してきている、私たちはそんな大きな変わり目の時代を生きているのです。

 しかし、そんな疲れやすい環境に身を置く現代人には、先人たちが有していなかった大きな恩恵があるのです。その恩恵を使って、この大きな変わり目をうまく渡っていこうじゃないですか。

 その恩恵とは、科学です。現代では科学的な研究が活発に行われ、脳、心、身体の関係も明らかになってきています。そのため、何が人間にとってのストレスの原因なのか、どうすればストレスによる被害を最小限に抑えて元気に過ごすことができるのか。それが科学的に、理論的に明らかになってきています。

 私自身は、言語学、社会心理学、脳科学、法学の専門的知見を融合して社会の諸現象を分析する研究者です。ここでは、そういった知見を応用・発展させて、私が調べた、世界の科学論文などで紹介された信頼できるエビデンスのある元気になる方法を、皆さんにお伝えしていきます。

身体が先、脳はあと

 初回である今回は、まず皆さんには大前提として、ある人間の特性をお教えします。それは、「身体が先で、そのあとに脳は考えてついてくる」というものです。この仕組みを上手に利用すれば、我々は簡単に「元気スイッチ」を入れることができるようになるのです。

 カリフォルニア大学のリベットらが行なった実験では、動作を行う準備のために脳に送られる信号が、動作を行う意識の信号よりも約350ミリ秒も早いということが明らかになりました。つまり、頭で考えたり心で念じたりするよりも、身体の動作するほうが先だったということが証明されたのです。

 もっとわかりやすく例えると、じゃんけんをするときに、パーを出そうと考えるより先に身体がパーを出しているということになります。パーを出す動作を感じて、脳が「私はパーを出す」と考えるということです。身体の動きを見て、心が反応するということは、身体の動きに脳は騙されるということにもつながります。

 心理学のとても有名な実験にこんなものがあります。割り箸やペンなどを口に横にくわえると、口角が上がった表情になりますよね? こうして無理やりにでも笑顔をつくると、脳はその動きを見て、「あ、私は今楽しんでいるんだ」と勘違いしてしまうのです。マンハイム大学のストラックらの実験では、こうしてマンガを読んだ被験者たちは、笑顔をつくらなかった被験者たちよりも、そのマンガを楽しいと感じたそうです。つまり、楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔だから楽しく感じるということです。

 もうひとつ似たような事例をご紹介します。オークランド大学のネアーらの研究ですが、背筋を伸ばした被験者と背筋を丸めた被験者に、文章を読ませたり、ストレスの高まるスピーチ課題などをさせたところ、背筋を伸ばしていた被験者たちは、実験後、背筋を丸めていた被験者たちよりも、より高い自己評価で、気分も良く、恐怖心も少なかったそうです。

 うつ病患者の大半が背筋が丸まっているなどという観察結果もあります。男女を問わず、背筋が伸びて、凛とした佇まいはとてもかっこいいものです。

 また、ミラーニューロンという人の真似をする脳の仕組みのおかげで、あくびが他人に伝染するように、笑顔も他人に伝染していきます。笑う門には福来たるといいますし、幸運も呼び寄せてくれるはずです。このように、笑顔には、それによってもたらされる恩恵がたくさんあるということです。

 最近、なんとなく気持ちが高ぶらない、楽しく感じない、元気・やる気が出てこないと感じている方々、イライラしたり、忙しさに心奪われてついついしかめっ面になってしまっている方々、なんとなく漠然とした不安に苛まれている方々、ぜひとも笑顔で背筋を伸ばしてみてください。

 元気があれば、何でもできる!
(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

堀田秀吾/明治大学法学部教授

堀田秀吾/明治大学法学部教授

 専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。

Twitter:@syugo_h

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