
12月11日、プロ野球のオリックス・バファローズの伊藤光捕手が契約更改交渉に臨み、来季年俸は1500万円ダウンの5700万円でサインしたことが報じられた。
しかし、話題になったのは、金額よりも伊藤捕手の球団との交渉内容だ。伊藤捕手は、主催試合の終了後に球団から提供される食事について、「菓子パンが多い。全員に行き届いていないこともある。栄養は大丈夫なのか」と、1時間半の交渉の大半を待遇改善の訴えに費やしたという。
配られる菓子パンは1個100円程度の市販のもののようで、伊藤捕手は「もっと糖質のあるものをとりたい。球団側の負担になるなら、選手がお金を出してもいい」と訴えた。
それに対し、球団側は「(ほかの食品を)用意すること自体は問題ではない」としているが、一部では「プロ野球選手に菓子パンとは、栄養面で問題がある」「球団の健康管理はどうなっているのか」「そもそも、菓子パンは体に悪いのでは?」などと波紋を呼んでいる。
この問題について、フードプロデューサーで一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事の南清貴氏は、以下のように語る。
「以前、プロ野球関係の友人から話を聞いたことがありますが、プロスポーツ界は、意外なほど食事に無頓着のようです。また、プロに限らず、スポーツジムでインストラクターを務めている友人は、クライアントの栄養問題を本気で心配しており、子供たちのスポーツチームについても、栄養に無関心なことに心を痛めています。
プロ野球関係の友人は、『スポーツをやっている子供に怪我が多いのは、食事の内容に問題があるのかもしれない』と疑ってもいます。プロ野球の球団には専属の管理栄養士がいますが、ほとんどの場合は契約している製薬会社などから派遣されています。そのため、自社で開発したスポーツドリンクを選手に勧めるなど、本来の栄養指導からかけ離れてしまっていることもあるようです。
今回、伊藤捕手が訴えた試合後の菓子パン問題は、それだけに焦点を当てていては、解決の道を探ることはできないでしょう。菓子パンというのは、あくまで象徴であり、その根っこには『球団側が、選手が食べるものに対して、その程度の関心しか抱いていない』という問題があります」