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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

要介護になる老人、共通して●●が不足していた?

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
要介護になる老人、共通して●●が不足していた?の画像1「Thinkstock」より

 超高齢社会の健康問題の核心である「老化」は、一生涯にわたる対策で取り組まなければならないことに気づき始めた方も多いと思う。老化に対する耐性を身につけるために、若い頃の筋肉量を増やす運動(スポーツ)の経験が大きな役割を果たすのはその好例である。

 しかし、若い頃にいかに運動に打ち込んだとしても、悲しいことに私たちの体の筋肉量は30歳から70歳までの40年間で10年ごとに3~8パーセントずつ減少することがわかっている。そして70歳以降はさらに減少率が指数関数的に上昇する。この減少は老化によるものであるが、個人差が極めて大きいのが特徴である。

 そこで、筆者らはこの差を生む原因を特定するため地域の元気なシニアの方々の協力を得て、老化の進む速度を決めているライフスタイルをはじめとするさまざまな要因を明らかにする研究をこれまで続けてきた。

 病気の発症リスクを高める原因をみつけだす研究では、調査開始時に体の医学的プロフィールやライフスタイルなどを一斉に調べ上げ、その特徴であらかじめグループ分けしておく。そして、標的にした病気の自然史に合わせた追跡期間を設け、どの特徴のグループから発症するかチェックすれば原因を特定できる。

 これに対し、老化研究は身長であればその縮み具合が問題になるため、調査の参加者全員に対して定期的に同じ計測器を使って測定し続けなければならない。研究の参加者への負担が大きく膨大な研究費がかかる大変さがある。

 しかしながら、30歳頃を起点に進み始める老化は、病気と違い普遍的な変化のため、病気の原因をみつけだす研究ではまずはみえてくることのない、生涯私達が実践しなければならない良好な生活習慣や人間としての生き方の本質を垣間みることができる。

老化の速度と体のたんぱく質栄養レベルに密接な関係

 本連載で、「老化とは栄養失調になってゆく変化」と表現したが、研究が進むに従い、漸次進行する老化の速度と体のたんぱく質栄養のレベルが予想以上に密接に関係し合っていることがわかってきた。

 そこで、老化のレベルが鋭敏に反映される最大歩行速度とたんぱく質栄養の相関関係を示すデータを紹介しよう。体のたんぱく質栄養を評価する指標にはさまざまなものがあるが、精緻な量反応性(dose-response)を備えた指標として血清アルブミンが最良である。

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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