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老後「孤独」が深刻化…若い頃のおひとりさま信仰で仲間おらず、引きこもりの末期症状

文=森井隆二郎/A4studio
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老後「孤独」が深刻化…若い頃のおひとりさま信仰で仲間おらず、引きこもりの末期症状の画像1「Thinkstock」より

 最近の日本では、「孤独」という言葉が肯定的なニュアンスで使われることが少なくない。

 たとえば、近年のヒットドラマには、主人公がひとりで飲食店をめぐる『孤独のグルメ』(テレビ東京系)という作品があり、4月からは「Season7」が放送される予定だ。主演の松重豊は「おっさんが淡々と飯を食っているだけ」と語っているが、その自由気ままな姿が視聴者を魅了しているのは間違いないだろう。

 ほかにも“ひとりカラオケ”の専門店や、ひとりで積極的に出かけることを是とする「ソロ活」といった新語も生まれている。

 一方で、欧米ではかねて孤独の危険性が指摘されていることをご存じだろうか。イギリスでは、孤独を訴えている人が900万人にも上るといい、「彼らは国家経済に年間320億ポンド(約4兆9200億円)の損失を与える」という試算もある。今年1月には、イギリス政府に「孤独担当大臣」というポストが新設されたほどだ。

 また、アメリカのブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授が2010年に発表した調査結果では、孤独の健康リスクはたばこを1日に15本吸うことやアルコール依存症であることに匹敵するという。

 そもそも、孤独の定義とはなんなのか。どのような人が孤独に陥ってしまいやすいのか。2月に『世界一孤独な日本のオジサン』(KADOKAWA)を上梓したコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏に話を聞いた。

「人間関係の豊かさ」日本は先進国で最下位

 まず、岡本氏は前提条件として「孤独とは、物理的な問題ではない」と語る。

「孤独とは『自分がひとりでいる』ということではなく、誰も頼る人がいない不安な状態のことを指します。言い換えれば、まわりに大勢の人がいても孤独になることは十分にあり得ます。あくまでも、精神的な問題なのです。

 英語では、『loneliness』が『ネガティブな孤独』を指すのに対し、『ソロ』の語源にもなっている『solitude』はひとりでいることを楽しむ『ポジティブな孤独』と区別されています。しかし、日本ではこの2つが混同され、孤独が美化されているように思えます。それは、非常に危険な状態といえるでしょう。

 たとえば、刑務所では独房への監禁が何よりも苦しい拷問だといわれています。そして、孤独が常態化すれば『コルチゾール』というストレスのホルモンが増えて体の免疫力を低下させてしまいます。つまり、人間は水を飲まずに生きていけないのと同じで、ひとりで生き続けることもできないはずなのです。

 社会人であれば『仕事が忙しすぎて、ひとりになりたい』などと感じる場面もあるかもしれませんが、それは仕事があるからこそ。『ひとりでいるほうが楽だ』と人間関係をないがしろにしてしまうと、いざ定年退職して『会社』という居場所を失ったときに、『実は誰も仲間がいなかった』という事態を招きかねません」(岡本氏)

 こうした状況は、前述したホルトランスタッド教授の調査結果にも関係してくるという。

『世界一孤独な日本のオジサン』 日本のオジサンは世界で一番孤独――。人々の精神や肉体を蝕む「孤独」はこの国の最も深刻な病の一つとなった。現状やその背景を探りつつ、大きな原因である「コミュ力の“貧困”」への対策を紹介する。 amazon_associate_logo.jpg

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