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「雑草系臨床心理士・杉山崇はこう考えます」

W杯、日本代表に潜む重大な懸念材料…ポーランドは危険な存在、別次元の仕掛けに注意

文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士
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W杯、日本代表に潜む重大な懸念材料…ポーランドは危険な存在、別次元の仕掛けに注意の画像12018 FIFA W杯 本田が同点ゴール(写真:新井賢一/アフロ)

グループ首位ではあるけれど……

2018 FIFAワールドカップ(W杯) ロシア大会」グループリーグ第2節で日本代表は初戦、事前の予想を覆して4年前に惨敗したコロンビアに勝ち、アフリカ系チームを苦手とする日本にとって最大の難敵と見られていたセネガルと点の取り合いで引き分けた。国内では西野朗監督の選手選考やテストマッチの使い方を批判していた評論家が、逆に批判されるという前代未聞の現象も起こっています。

 フェアプレーのおかげで勝ち点、得失点差で2位セネガルと並びながらも、現在のところグループリーグ首位に立っています。さまざまな意味で堂々たる勝者です。
 
 ですが、ポーランド戦に“勝者のメンタリティ”で望むのは危険です。なぜなら日本的な変な勝者のメンタリティは、油断をもたらすことが多いからです。

変な“勝者のメンタリティ(=大企業病)”も敵の一つ

 
 突然ですが、大企業病という言葉をご存知でしょうか。大企業とは、その業界における勝者です。規模やシェアが大きく、多くの場合は業界のなかでも歴史があります。

 大企業にありがちな変な勝者のメンタリティを大企業病と呼びます。その定義は人によって違いますが、大企業であることに甘えてしまうマインドは概ね共通しています。規模や歴史への甘えのなかで「我が社は潰れない」と油断して、全力を出し切る努力やリスクを犯すチャレンジから逃げがちです。

リスクを恐れ、チャレンジから逃げると危ない!

 
 日本はコロンビア戦もセネガル戦も、誰もが一分の油断もなく全力でリスクを犯しながらチャレンジしていました。「失うもののないメンタリティ」または「誰にも期待されない弱者の意地」によって、2戦で勝ち点4という結果を手にしたと言えるでしょう。ただ、首位ではありますが勝ち抜けていません。まだグループリーグ突破というミッションをクリアしていない状態です。

 仮にこの状態で大企業病的な勝者のメンタリティが持ち込まれて、「リスクを恐れる」「全力を惜しむ」選手が一人でも出てしまうと、とたんにチームとして機能しなくなる可能性もあります。

 もちろん、私たちはここまでの戦いぶりを「勝者」として讃えるべきですが、選手のメンタリティが勝者になってしまってはいけません。選手たちには「勝ち点1も取れないだろう」と囁かれていた当時の弱者のマインドのまま、リスクを恐れない弱者のメンタリティでポーランド戦に臨んでほしいと思います。

“真の勝者のメンタリティ”をポーランドが持っていると危ない

 
 ポーランドは2敗で敗退が決まっていますが、世界ランク6位であり、FCバイエルン・ミュンヘン(独)、SSCナポリ(伊)、RSCアンデルレヒト(ベルギー)など常勝を義務付けられた欧州の名門チームでプレーする選手もいます。このような名門チームでは大企業的な油断とは違う、真の勝者のメンタリティが文化として根付いているものです。真の勝者のメンタリティとは、勝者としての誇りを守るために極限まで自分を追い込めるメンタリティです。敵に向かう前に、まず楽に流れがちな自分に勝つメンタリティです。

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