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藤井泰輔「あなたの生活をサポートするお金のはなし」

話題の就業不能保険、早急な加入に待った?まずは公的な傷病手当金や障害年金を要チェック

文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表
話題の就業不能保険、早急な加入に待った?まずは公的な傷病手当金や障害年金を要チェックの画像1「Gettyimages」より

 病気やけがで働けなくなったときに保険金が支払われる「就業不能保険」という商品を、テレビのCMなどでよく目にするようになりました。そこで、この新しいタイプの保険について、検討すべきものかどうかを考えてみたいと思います。

 実は、この保険、決して新しいものではなく、昔から損害保険会社で売られている商品で、働けない期間が短い「所得補償保険」と、期間が長い「長期障害所得補償保険(LTD)」や団体扱いの「団体長期障害所得補償保険(GLTD、Group Long Term Disability)」があり、最近、ライフネット生命やアフラック、また一部の大手生保で売られているものは、損保のLTDを真似た商品です。

就業不能保険の保障内容は

 その中身は、長期間にわたって働けない状態(入院か在宅治療)が続いたときに、この保険が収入を補う役目を果たすということです。ちなみに、明治安田生命が出している「ベストスタイル」という商品に特約でついている「給与・家計サポート特約」は、短期の保障なので別物です。

 保険料はライフネット生命の場合、35歳男性で、月20万円の保険金が、就業不能の状態になって180日経過後から最長60歳まで払われるもので、保険料は月額3,496円です。

 保険金が支払われる条件は、それなりに厳しく、在宅療養といっても、医師の指示にもとづき、治療に専念し外出もできない状態のことですし、精神疾患による就業不能を保障するものでも、その保障期間は最長1年半で、入院しているか精神神経障害2級の認定を受ける必要があります。

【ご参照:ライフネット生命の商品紹介サイト

 では、なぜ今働けない人のための生命保険なのかといいますと、生命保険会社も長引く低金利で、一時よく売れた「終身保険」などの商品を販売停止にするなど、売り物が徐々になくなってきています。そうしたなか、新たな保険分野を模索していて「就業不能保険」にたどり着いたというのが、この商品が世に出てきた事情ではないかと思います。

 では、企業で働く、もしくは自営やフリーランスとして働くみなさんは、この保険をどのように捉えたらいいのでしょうか。そこを一緒に考えてみましょう。

健康保険の傷病手当金とは

 まず、その前に、働けなくなったら、どのような公的な保障があるかを知っておくことが先決です。不安なものをすべて生命保険や損害保険で手当していては、お金がいくらあっても足りません。先のライフネットの商品も、25年間保険料を支払うと、105万円にもなります(3,496円×12カ月×25年)。

 企業に勤めている人や公務員は、健康保険に加入しており、その保障のひとつに「傷病手当金」という制度があります。この制度は、働けなくなった4日目から、最長1年半にわたって、それまで受け取っていた給与の3分の2を健康保険が保障してくれる制度です。

 会社が給与を払ってくれなくなっても、健康保険から給与の3分の2が支払われ、最悪、働けないことで会社を辞めざるを得なくなった後も、この支払いは続きます。

藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表

藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表

株式会社ファイナンシャルアソシエイツ代表取締役。生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士。一橋大学商学部卒業後、三井物産、生命保険会社勤務を経て、2000年に総合保険代理店、株式会社ファイナンシャルアソシエイツを設立。法人、個人ともに、常に買う側の立場に立った保険提案で顧客の信頼を集めている。機会あるごとに保険をテーマとしたセミナーの講師を務め、さらに新聞、雑誌などへの寄稿を通して、正しい保険の活用法を説いている。主な著書に、『あなたの「生命保険」払いすぎ!』(かんき出版)、『中小企業のための保険加入完全ガイド』(プレジデント社)、『安心セカンドライフのためのマネー・プラン』(日本評論社)がある。

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