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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

災害で自宅や家財に多額の損失、払う所得税が全額免除される方法!

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士
災害で自宅や家財に多額の損失、払う所得税が全額免除される方法!の画像1「Gettyimages」より

 今回は災害減免法による軽減免除について、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。

亮子「災害で財産を失うことも、他人事ではないよね」

啓子「実際に、そういう方もたくさんおられます」

亮子「保険などで対策しておくと同時に、税金などでも救済措置がないか、少しでも知っておいてほしいですね」

啓子「今回は、前回説明した雑損控除と比べて有利なほうを選べる、災害減免法による軽減免除について触れていきます」

災害によっては所得税がゼロになることも

 自然災害により住宅や家財などに損害を受けた場合にも、前回説明した雑損控除を利用した税金の軽減が可能です。また、一定の条件にあてはまる場合には災害減免法による軽減免除も適用可能で、いずれか有利なほうを選択することができます。

 雑損控除は所得から損害による控除額を差し引いて税金を軽減する制度であるのに対し、災害減免法による軽減免除は、負担する税金を直接減らすことで税金を軽減・免除する制度(税額控除)です。

 400万円の財産が災害によって240万円分失い、原状回復のための修繕などに60万円かかってしまった場合を考えてみましょう。その年の年収が650万円(総所得金額等466万円)の会社員であれば、所得税は約23万円となりますが、雑損控除を適用した場合と災害減免法を適用した場合とを比較してみます。
なお、雑損控除以外の所得控除は、社会保険料(収入×15%で計算)、基礎控除38万円のみ想定しています。個々の事情によって計算結果が異なりますのでご留意ください。

<雑損控除を適用する場合>
損失額 :損害金額240万円 + 災害等に関連した支出金額60万円 =300万円
雑損控除:1.と2.の大きい方
1.損失額 300万円 - 総所得金額等466万円 × 10% =253.4万円
2.災害関連支出額60万円 - 5万円 = 55万円
所得控除:雑損控除253.4万円+社会保険料97.5万円+基礎控除38万円=388.9万円
税金:(総所得金額等466万円-所得控除388.9万円)×所得税率5% = 約3.8万円

 適用しなかった場合の税額約23万円に対し、雑損控除を適用すれば約3.8万円ですむということになります。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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