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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

冬瓜の驚きの効能…超低カロリー食材の秘密

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冬瓜と合鴨スモークのみぞれあん(撮影=筆者)
 冬瓜……料理の素材としてはよく知られた野菜ではありますが、メニューに書いてあったとき、人前で堂々と読むのがちょっとためらわれるかもしれません。「カモウリ」ともいいます。インド・東南アジア原産で、日本での最古の記録は平安時代の「本草和名」に記載があり、薬用野菜として食されていたようですが、いつ日本に入ってきたのかは不明です。


 ウリ科の一年草で、つるになった果実部分を食用にしますが、数十センチにも成長する果実が地面にボテッと横たわる姿は、まるで巨大化した大腸菌のようでもあります。露地栽培では7月から9月に収穫しますが、硬く完熟した冬瓜は日持ちがよく、常温で転がしておいても切らなければ冬までもちます。

 江戸時代の俳人・松尾芭蕉は、没年である1694年の夏の終わりに故郷の伊賀上野(現在の三重県伊賀市)で、

冬瓜や たがひにかはる 顔の形(西華集)

と詠みました。

 当時、芭蕉は51歳。江戸時代であれば長寿でしたが、この数カ月後に大阪で病没します。この句では、畑にゴロゴロと横たわる多数の冬瓜の、ちょっとシミがあってカサついた感じのある果実を老女(といっても当時のことなので50歳程度のはず)に見立てています。

 冬瓜は95パーセント以上が水分で、100グラム食べても16キロカロリーほどの低カロリー野菜です。味も控えめなので、調味料を上手に使えばさまざまな料理においしく健康的に利用できます。中をくり抜いて砂糖を入れれば水分が染み出て甘いおやつに、ゆでた冬瓜を冷水にさらすとプルンとした食感となり、黒蜜ときな粉をまぶせば葛餅風のデザートにもなります。塩ゆでして生ハムを巻けば、最高のおつまみにも早変わりの万能食材です。

ビタミンCの意外な健康作用


 さて、冬瓜の栄養素について科学的に見てみましょう。重さのほとんどが水分なので、特に目立った栄養成分は含まれていません。強いて言えば、ビタミンCとカリウム、それに食物繊維を多く含む程度です。

 カリウムは、体内の塩分濃度の調整作用と利尿作用によって高血圧やむくみを防ぐ作用があります。ビタミンCについては100グラム当たりで見ると、みかんと同じ程度が含まれています。ビタミンCといえば、なんとなく黄色くすっぱいイメージがありますが、純粋なビタミンC(下図)を水に溶かしても無色透明で味もありません。

ビタミンCの構造式
 そもそもビタミンは、ほんのわずかあれば発育や活動に十分である物質を対象に名付けられたものなので、過剰に摂取してもあまり意味はありません。また、ほとんどの哺乳類はビタミンCを体内で合成して自給自足することができますが、人間やコウモリなどごく一部の動物はビタミンCを合成する遺伝子を持っていないため、必ず食品から摂取する必要があります。冬瓜100グラムに含まれるビタミンCは27ミリグラムなので、赤ピーマンであれば16グラムで摂取可能です。
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』

野菜を食べると体によい。牛肉を食べると力が出る。食べ物を食べるだけで健康に影響を及ぼし気分にまで作用する。なんの変哲もない食べ物になぜそんなことができるのか? そんな不思議に迫るべく食べ物の体内動態をちょっと覗いてみよう。

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