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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

ソフトバンク、通信障害&ファーウェイ問題でも上場“強行”は不誠実…PayPayに懸念も

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ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(写真:ロイター/アフロ)

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯電話3社が基地局などの通信設備から中国製品を除外することが明らかになった。使用中の通信機器に加えて、次世代の通信規格「5G」への採用も見送るという。日本政府は安全保障上の観点から、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から排除する方針を示しており、それに追従したかたちだ。

 騒動の渦中にあるファーウェイとの関係については、3大キャリアのなかでソフトバンクがもっとも強く、そのため以前から同社の対応が注目されていたわけだが、ようやく決断したといえる。しかし、2019年の5G導入までには時間がなく、新たな設備の調達およびシステムの構築などが間に合うのか、さらに既存のシステムを含む設備更新のコストがどの程度になるのかも見えてこない。

 本連載前回記事で述べた通り、アメリカは19年8月13日までにファーウェイとZTEを含む中国企業5社の製品を調達することを禁止し、20年8月13日までには同5社の製品を利用する企業などの米政府機関との取引も禁じる。このタイムスケジュールに合わせるかたちで設備更新などを進めるとしても、製品調達やシステム調整が間に合うかどうかはわからない。また、今や携帯電話をはじめとする通信機器はインフラであるため、サービスを止めたり品質を低下させたりするわけにもいかないだろう。そのため、ソフトバンクの今後の舵取りは非常に厳しいものになることが予想される。

 そんななか、12月19日に株式上場を控えるソフトバンクは、売り出し価格を当初の予定通り1500円に決定した。この判断は、投資家に対して不誠実であると言わざるを得ない。大規模な通信障害とファーウェイをめぐる問題が露呈したことで事業計画や資金計画の大幅な見直しが必要になった以上、いったん上場を延期すべきではないだろうか。

 19年からの5G導入を前提に考えると、ソフトバンクの選択肢としては、現行の4Gを中心に今のサービスの更新(ファーウェイ、ZTEの排除)を進め、5Gに関しては限られたエリアで開始あるいは他社のシステムに相乗りするかたちでのローミングなどでしのぐのが現実的だ。

 5Gの導入においては、通信とほかの産業をシームレスでつなぐサービスが展開される予定であり、それは現行の4Gとは比べものにならない規模になると見られている。人工知能(AI)を活用した自動運転や物流システムの適正化なども5Gの普及が前提になっており、そのため異業種との連携および開発なども活発に行われている。いわば5Gは世界中の産業の根幹を担う部分であり、単なる携帯電話のシステムのひとつではないのだ。

 そのため、アメリカは5Gで一気に覇権を握ろうとする中国の動きに非常に神経質になっている。日本ではあまり報じられることがなかったが、ファーウェイとZTEについては、アメリカでは10年頃から議会で幾度となく問題になっており、この動きは今に始まったことではないのだ。

話題の「PayPay」に不安要素も?

 また、今後はスマートフォンとビッグデータの活用によるバーコードやQRコードでの決済サービスが問題視される可能性も高い。

 現在、ソフトバンクとヤフーの合弁によるPayPayが始めた同名のキャッシュレス決済サービスが話題になっているが、キャッシュレス決済では「誰が」「いつ」「どこで」「何を買ったか」という記録が蓄積される。それらはビッグデータとしてマーケティングなどに生かされる半面、個人情報であるため流出などのリスクも伴う。ヨーロッパ連合(EU)では「一般データ保護規則」(GDPR)によって個人データの保護が厳しく規制されているが、日本にはそのような規制がないのが現状だ。

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