――妊婦がサプリメントを摂取することについては、いかがですか。

荻田 妊婦さんに必要な栄養素というのはあるので、サプリ摂取を否定はしません。しかし、実際は不必要なサプリのほうが多いです。これについては科学的根拠となる論文があるので、かかりつけの産科医と相談したほうがいいでしょう。

「適度に怖がる」ために正確な知識を

――聞きづらいことですが、産科医のなかでも怪しげな情報を流す方もいます。これについては、どうお考えですか。

荻田 なかにはいますが、問題になっている事例は片手で数える程度です。ただし、ブログに転載されるなど二次的な広がりを見せてしまうことが問題です。鵜呑みにせず、リテラシーを持って中立的な立場の産科医に聞いたほうがいいでしょう。

――真偽不明な情報が氾濫する現状を、産科医としてどう見ていますか。

荻田 確かにお産に関する真偽不明な情報は多いですが、それらについては日本産科婦人科学会が検証してまとめています。これは、改善に向けた取り組みのひとつです。それ以外にも、チャットボットやIoT(モノのインターネット)を活用することで、妊婦さんが心配や不安に感じたことをすぐに相談できるようなシステムを構築することが必要だと考えています。

――日本産科婦人科学会が監修する、アプリ版の「Babyプラス」の役割は?

荻田 これは、偽情報を峻別するツールになります。物理学者で随筆家の寺田寅彦は、浅間山が噴火した際に「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」と述べています。正確な知識を持ち適度に怖がることの大切さを訴えた随筆ですが、まさに、そのためのツールになるでしょう。

 産科医は、出産から子育てまで妊婦さんと並走するパートナーです。そのためのリソースのひとつとして考えてもらえばと思います。

――少子高齢化が進展するなか、政治的にも子育て世代へのケアを拡充するような政策が必要ではないでしょうか。

荻田 2015年10月に『嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本』(講談社)を上梓してから、「1億総活躍」「女性活躍」といった声も大きくなり、子育て世代に対する制度なども改善されていると感じます。ただ、乳幼児の生育環境の大事さを代弁してくれるような政治家が、もう少し増えてもいいのかなと感じています。子育て支援自体は各自治体が考えるべきことかもしれませんが、国は予算の拡充などを考慮すべきです。

 また、今後は母子手帳やお薬手帳もクラウド上で管理できるようになります。そうしたIoTの力も、ぜひ活用してほしいですね。
(構成=長井雄一朗/ライター)

プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ