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森由香子「間違いだらけの食」

夏にビール飲み過ぎで尿酸値上昇…禁酒や節酒しても下がらない“別の理由”

文=森由香子/管理栄養士
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「gettyimages」より

 今年の夏も暑いですね。水分補給にビールを飲み過ぎて、尿酸値を上げてしまった方も多いのではないでしょうか。尿酸値の改善に禁酒、節酒、週2日の休肝日は効果的です。そうはいっても、飲酒をやめる、飲酒量を減らすのは至難の業、並々ならぬ克己心、努力が必要ですね。飲酒の楽しさと同様な価値のあるものを見つけることができれば禁酒、節酒も容易かもしれません。

 意を決してお酒をやめたのに、努力の甲斐なく尿酸値が下がらないという方がときどきいらっしゃいます。そんな方は、ある成分が含まれた食品の摂り過ぎに原因があるかもしれません。

 お酒の代わりに、増えた食品がありませんか。

 実は、ある成分とは果糖です。果糖は、代謝される際にプリン体の分解を活発にして、血液中の尿酸値を上げます。果糖の過剰摂取は、痛風のリスクを高めるのです。みのりの秋を迎えると、柿、梨、洋ナシ、ブドウといった旬のフルーツが店頭に並びます。旬のフルーツは、みずみずしく甘くて美味しいですね。そんなフルーツの甘味を構成しているのが、ショ糖(ぶどう糖+果糖)、果糖といった糖類です。

 果糖は、即効性のエネルギー源でスポーツ愛好家にも欠かせない成分ですが、その一方、

 代謝の過程で中性脂肪にもなりやすいため、食べ過ぎは中性脂肪値を上げ、生活習慣病の要因になります。果糖は、尿酸値を上げてしまうという意外な面も隠されていたとは驚きですね。

 尿酸値を上げる要因は、プリン体の多い食品ばかりでないのです。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(2019年改訂、第3版)によると、「果糖、キシリトールは、代謝される際にプリン体の分解を亢進し、血清尿酸値を上昇させる」と記載されています。果糖が構成成分となっている砂糖(ぶどう糖+果糖)、グルコースを果糖に異性化した甘味料も同様の働きがあります。これらが含まれる飲み物、食べ物の摂り過ぎにご注意ください。

 ここまで読んで、「フルーツはいけないの?」と心配された方、ご安心ください。適量のフルーツならば、尿酸値の上昇に影響がありません。ちなみにフルーツの適量は1日200g程度です。柿なら1個、梨なら3分の2個、洋ナシなら1個、マスカット・巨峰なら20個ぐらいです。

 欧系米国人の1万6760名を対象とした研究によると、柑橘系、非柑橘系、リンゴ、梨、バナナ、メロン、桃のいずれも尿酸値上昇と関連したものはなく、非柑橘系では、尿酸値の低下と有意に関連したとの報告もあります。

 尿酸値を下げるには、バランスのとれた食事、じゅうぶんな水分補給、週1~2日程度の休肝日、プリン体の多いものを大量に連続して食べない、そして甘いもの、甘い飲料を摂り過ぎないことです。どんな食品でもほどほどが肝心ですね。

(文=森由香子/管理栄養士)

森由香子/管理栄養士

森由香子/管理栄養士

東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。 クリニックにて栄養指導、食事記録の栄養分析、食事管理業務に従事。フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱している。「老けない人は何を食べているのか」「病気にならない人は何を食べているのか」「体にいい『食べ合わせ』」「太らない人の賢い食べ方」「老けない人の献立レシピ」など著書多数

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