ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 小池知事再選確実を招いた野党のミス
NEW

東京・小池知事再選確実を招いた小沢一郎と山本太郎の“痛恨のミス”…幻の野党統一候補

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,
東京・小池知事再選確実を招いた小沢一郎と山本太郎の“痛恨のミス”…幻の野党統一候補の画像1
小沢一郎公式サイトより

 6月18日告示、7月5日投開票の東京都知事選。現職の小池百合子知事(67)に挑む主要候補は、立憲民主党・共産党・社民党が支援する元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)、日本維新の会が推薦する前熊本県副知事の小野泰輔氏(46)、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)、NHKから国民を守る党の党首・立花孝志氏(52)などの面々。

 安倍政権の支持率が下落傾向のなかでの首都決戦は、小池氏が政党推薦を受けないと表明したため「自主投票」になったものの自民党と公明党は事実上、小池氏を支援する。対して、国政で連携する野党陣営は、宇都宮氏と山本氏に票が割れることになった。知名度のある山本氏には小池氏に流れそうな無党派票を食う要素があるとはいえ、よほどの“事件”でもない限り、小池氏が優位に戦いを進めると見られる。

「小池さんのカイロ大卒業に関する学歴詐称疑惑が再燃するきっかけとなったノンフィクション『女帝 小池百合子』(文藝春秋)は15万部を超えるベストセラーになっている。東京アラートなどコロナ対策でも小池さんの対応に懐疑的な都民が増えてきている。野党が統一候補で1人に絞り込めていれば、反小池票の受け皿になって、勝機があったかもしれないのに惜しいことをした」(野党陣営の国会議員)

 実は、山本氏が野党統一候補になる可能性はあった。野党は東京に基盤のある第1党の立憲民主が中心になって、都知事選候補を探してきた。前川喜平元文科省事務次官に固辞されるなどしたが、ずっと有力候補だった1人が山本氏だ。立憲民主の長妻昭選対委員長がテレビ番組で山本氏の名前を挙げたこともあった。

 一方、山本氏は来たる解散総選挙を目指して、れいわ独自の候補者擁立を年明けから進めてきた。同時に、昨年の参院選で旋風を巻き起こしたように全国遊説を続けることで、草の根からの支持拡大を図るつもりだった。

 ところが、新型コロナウイルス禍で全国遊説計画は断念。ネット動画配信などで支持拡大を訴えるも街頭のようにはいかない。焦りが募る中での起死回生策として山本氏は都知事選出馬を真剣に考えるようになる。

 動いたのは、かつて同じ党に所属した山本氏の師ともいえる小沢一郎衆院議員(国民民主党)だ。5月になっても立憲民主は独自候補を探せず、コロナ禍もあり、擁立断念の空気が漂っていた。山本氏に立候補する気があることを確認した小沢氏は、山本氏を野党統一候補でまとめるべく調整を進め、一旦は立憲民主、国民民主、共産、社民で担ぐことで固まりかけた。

2番手争い、次の衆院選に影響

 ところが、である。小沢氏と山本氏は、重要な1点を確認し合っていなかったのだ。

「小沢さんは当然、山本氏は各党が推薦するかたちで無所属で出馬するものだと思っていた。だがあとになって、山本氏が『れいわ公認』で戦うつもりだとわかり、『それでは各党は担げない』となった。山本氏はれいわの看板へのこだわりが強かった。公認が無理なら、確認団体の名前をれいわに、とも主張し、結局、野党統一候補の話は潰れてしまった」(野党関係者)

 加えて、宇都宮氏の執念はすごかった。宇都宮氏は4年前の都知事選の際、野党統一候補をジャーナリストの鳥越俊太郎氏とするための調整で、涙を飲んで出馬を断念した経緯があり、二度と前回のような撤退はないと当初から決めていたようだ。5月下旬に山本氏と面会し、直接、立候補の可能性を伝えられると、宇都宮氏は電光石火で先んじて出馬表明に踏み切った。立憲民主や共産の宇都宮氏支援の組織決定は後付けで決まったほどだ。

 山本氏がれいわの看板にこだわらず、5月中旬くらいまでに野党統一候補でまとまっていたら、宇都宮氏がそれでも出馬を強行できたかどうか。時すでに遅し、である。

 さて、この先の注目は2番手争いか。結果は秋にもあると噂される解散総選挙に直結する。

 山本氏と宇都宮氏のどちらが得票で上に来るか、どこまで小池氏に迫れるかは、解散総選挙の野党共闘の行方に影響する。山本氏が2番手なら、れいわの存在感が高まり、立憲民主は野党第1党として戦略変更を迫られる。宇都宮氏が2番手なら、立憲民主と共産の連携はさらに強まり、国民民主もこれに従わざるを得なくなる。山本氏とれいわはジリ貧になりかねない。

 維新も要注意だ。小野氏はコロナ対応で評判を上げた吉村洋文大阪府知事(維新副代表)の効果にあやかる選挙戦を展開中。昨夏の参院選東京選挙区での維新候補の得票は52万票だった。知事選でこれをどこまで上回れるかは、関西限定の地域政党からの脱皮の試金石になる。吉村効果で小野氏が2番手になる可能性もないとはいえない。

 いずれにしても、現状、小池氏が高見の見物となりそうな展開ではある。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

東京・小池知事再選確実を招いた小沢一郎と山本太郎の“痛恨のミス”…幻の野党統一候補のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!