ついに五代目山健組に神戸山口組から処分が下る! その裏で変わりゆく「除籍処分」の意味の画像1

 7月に神戸山口組からの離脱を表明していた五代目山健組の中田浩司組長に対して、ついに神戸山口組・井上邦雄組長から除籍処分が通知された。山健組に続くように神戸山口組を離脱していた池田組・池田孝志組長には、いち早く除籍通知が出されていたが、中田組長への処分は保留状態で、その動向に注目が集まっていたわけだ。これについて、業界関係者はこう解説する。

 「現在拘置所にいる中田組長が、神戸山口組からの離脱を表明した時に、神戸山口組からいつかは処分が下されるのは、わかりきっていたこと。問題は、その処分を示した状(回状)がもつ効力だ。本来、所属していた上部団体から、除籍にかかわらず、絶縁、破門、引退などの通知が出されれば、その人物はヤクザを辞めざるをえなかった。だからこそ、状には重みがあった。しかし、その重み、言うならば、そのしきたりに背いた格好で結成されたのが、神戸山口組だ。そもそも井上組長には、六代目山口組を割って出た際に、同組から絶縁処分が下されている。だが井上組長は神戸山口組を立ち上げて、六代目山口組と対峙する姿勢を見せた。そのために、分裂抗争に発展することになるのだが、問題は上部団体に絶縁処分され、本来であればヤクザを辞めざるをえない立場だった組長が、今回のように、配下の中田組長になんらかの処分を下したところで、その効力にどんな意味があるのだろうかということ。同じように、神戸山口組から除籍された池田組長もヤクザを辞めたわけではない。ここが、六代目山口組と神戸山口組の“ヤクザ組織としての正当性”といった面での違いになるのではないだろうか」

 ヤクザ社会における除籍とは、組織からの強制的な除名を意味するものではなく、本人の意思も踏まえて、ヤクザ社会から退いてもらうことを意味する。それはすなわちカタギになるということだ。六代目山口組が分裂する以前まで、山口組ではひとつの規定があり、除籍された者はヤクザ社会に復帰することはできなかったのだ。

 除籍には、大きく分けると2通りある。ひとつは、本来ならば、破門(将来的に復縁が許される可能性がある)や絶縁(復縁の可能性がない)などといった制裁処分にするところを、それまでの組織に対する貢献度などから、あくまで、ヤクザを辞めるという本人の意思も踏まえた処分にするというケース。もうひとつは、なんらかの理由で組織から抜けることを許されはしたものの、年齢的に引退にはできない場合、除籍という猶予的処分が取られるのだ。

 実際、分裂前までの六代目体制では、引退するには、ひとつの基準として60歳以上か、もしくは60歳近い年齢が達していなければならなかったのだ。二次団体の若頭を務めた最高幹部が40代での引退を認められたことが一度だけあったのだが、それは例外中の例外で、以降、その基準は一層強められたという。そうした理由から、所属組織から円満に引退することが認められたとしても、年齢が基準に達していなければ、形式的には除籍となったのだ。

 いずれにしても、絶縁、破門、引退、除籍の通知を出されれば、その人物が他組織でヤクザとして生きていくことはできなかった。つまり、ヤクザを辞めざるをえなかったのである。

 だが、そうしたこれまでのしきたりに背いて結成されたのが、神戸山口組ということになる。

 「確かに、所属組織から処分されようが、他者が認めざるをえないほどの力があれば、渡世を張ることはできなくもない。たとえ、それがヤクザの筋から外れていたとしてもだ。周囲がなんと言おうが、ヤクザの世界は勝てば官軍、力がモノをいう世界。六代目山口組から処分された神戸山口組を支持する他団体があったのは、それだけの力があると判断されたからだ。しかし、現状、神戸山口組の組織力は低下しており、神戸山口組から絶縁された織田絆誠会長率いる絆會も、除籍された池田組も、実際にはヤクザ組織として存続している。神戸山口組が下す除籍という処分は、これまでの除籍という概念と違う意味合いが含まれてきているのではないか」(事情通)

 すなわち、ここでの除籍とは、その対象者がカタギになったことを意味するのではなく、神戸山口組とは関係がなくなったということを意味しているのではないかと指摘しているのだ。

 どちらにしても、中田組長が除籍されたことで、これまで神戸山口組の中枢を担っていた五代目山健組は、神戸山口組とは無関係になったことが明白になったといえるだろう。今後は、袂を分かった両組織がどんな動きを見せていくのかに注目が集まる。

(文=山口組問題特別取材班)

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