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東証障害、社長・CIOの会見に称賛集まる…記者たちのIT知識不足露呈にツッコミも

文=編集部
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「Gettyimages」より

 機器故障によるシステムダウンが発生していた東京証券取引所は2日午前7時、同時午前9時から通常通り株式の売買を再開すると発表した。故障していた機器を交換し、システムの復旧を確認したという。トラブルの起こった1日は奇しくも「10月月初め・四半期初め」の日。投資家や金融機関の間には大きな動揺が広がり、各界から東証のシステムに関する疑問の声が上がっていた。

 そんななか、インターネット上では国民民主党代表の玉木雄一郎氏(衆議院議員、香川2区)がこの件に関してつぶやいたTwitterの投稿や、東証の会見に出席した記者らの的外れな質問にツッコミが相次いでいる。

 玉木氏は1日午後4時12分、以下のように自身の公式Twitterアカウントに投稿した。

「世界3位の時価総額を誇る東証の終日取引停止はIT先進国とは言えない事態。日本の株式市場に対する世界からの信頼が損なわれかねず速やかな復旧を求めたい。他の取引所にも拡大しておりサーバー型ではなくシステムのブロックチェーン化など分散化を進める必要もあると思う」(原文ママ、以下同)

「世界第3位の時価総額~」のくだりは多くの人が賛同する内容であったものの、「他の取引所にも拡大しておりサーバー型ではなくシステムのブロックチェーン化など分散化を進める必要もあると思う」との記述に対して、以下のように疑問の声が上がった。

「???」

「…サーバ型ではなくシステムのブロックチェーン化!?」

「よく分からん言葉を無理して使うのはやめた方がよろしいかと存じます」

「勉強不足で申し訳ありません。システムのブロックチェーン化の具体的なシステム構成図を出していただけると、我々エンジニアにとって参考になりますので是非よろしくお願いいたします」

「言いたいことは分からんでもないんですが、ブロックチェーンではないんです。あくまで分散化することでシステムの冗長性をより強化する必要性が露見したまでです」

そもそもブロックチェーンとは

 ブロックチェーンとは何か。総務省公式サイトに掲載されている平成30年度情報白書から引用する。

「ブロックチェーン技術とは情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、『ビットコイン』等の仮想通貨に用いられている基盤技術である。一般社団法人日本ブロックチェーン協会は広義のブロックチェーンを『電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術』と定義している」

 大手IT関連会社幹部は次のように話す。

「確かに、ブロックチェーンの技術を応用させて金融取引や不動産登記など幅広い分野での活用の検討がなされているのは事実ですが、あくまでさまざまな応用が利く『データベースの一種』という見方が一般的です。今回問題になったのは『システム』です。システムというのは機械的な設備はもちろんサーバー、クラウドなどの『データベース関連』も包含して、何かの目的を達成する一つの『仕組み』全体を指します。玉木さんのおっしゃりたいことは良くわかるのですが、今回の一件でブロックチェーンのシステムを構築するというのは少々、無理があるのではないかと思います。

 東京証券取引所さんが1日の会見で発表していた通り、機器の故障はどんな企業でも必ず起きます。設備の経年劣化や物理的な損壊などを防ぐ手立てはないからです。問題はそれを見越した上で、予備のシステムをしっかり準備できているかどうかなのです。東証さんをはじめ日本の公的機関のシステムは予算の関係からか、冗長性が乏しいことが長年指摘されていました。しかし、国会の先生方や各省庁のトップの方々にはなかなか理解していただけませんでした。今回の一件を教訓に見直しを進めてほしいと思います」

東証の会見には賞賛の声広まる

 東証の宮原幸一郎社長と横山隆介・最高情報責任者(CIO)らは1日夜、システムトラブルに関して次のように説明した。

「午前7時4分ごろ、株式売買システム『アローヘッド』の内部に2台あるストレージシステム『共有ディスク装置』の1号機に異常が発生した。異常の原因は装置のメモリ故障だった。通常であれば1号機に異常が発生しても2号機に自動的に切り替わる設定になっているはずだったが、何らかの理由で切り替わらなかった」

 一方で記者からは「メモリとありますが、何を保存しているものなのでしょうか」などという質問が相次いだ。こうした質問に対し、横山CIOは理路整然と丁寧に回答していた。

 そのやり取りを見たTwitterユーザーからは以下のように賞賛の声が上がった。

「東証の記者会見のすごかったところ

・経営陣がシステムのことを理解している

・記者の質問に真正面から回答している

・できるだけわかりやすい表現を使っている

・外注先に責任のなすりつけを一切していない

・責任の所在は東証にあると明言している」

「逆に、日本証券取引所の役員の記者会見はかなり凄いと感じた。

 夕方の記者会見までに資料を揃え、コンピュータが分からない不勉強な記者にも分かりやすく説明してた。YouTubeとかで記者会見がオープンになる時代、一般人レベルの知識しかない記者で会見に参加して大手マスコミよ、それで良いのか?」

 国会議員もメディアもIT先進国の一員を名乗るにためには、まだまだ勉強が必要なのかもしれない。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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