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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

東京五輪・日本人選手のメダルラッシュの理由…医師が医学的見地から考察

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
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東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会のHPより

 開催に賛否両論が渦巻き、新型コロナウイルス感染症の罹患者数が激増していくなかで行われた東京オリンピックも8月8日に無事終了した。日本選手団は、金27個、銀14個、銅17個の計58個のメダルを獲得し、米国、中国に次いで堂々の3位。まさに称賛に値する。

 熱帯並みの高温多湿の日本の気候への不慣れ、コロナ禍のためにその気候に慣れるための日本での事前の合宿練習が十分できなかった外国選手団の体調が必ずしも万全ではなかったことなど、日本選手団への「地の利」は働いたものの、このメダル獲得数は見事といわざるを得ない。

 メダル獲得後のインタビューでメダリストたちから、支えてくれた両親、コーチ、仲間をはじめ、周りの人たちへの「感謝」が異口同音に発せられていたのは驚きであった。逆にいうと、日頃、周りの人々はじめ、すべての事象に対して「感謝」の気持ちを持っている人がメダリストになれるのではないか、とも思われる。

セリエのストレス学説

 ストレス(stress)という物理学用語を初めて医学用語として使ったカナダのハンス・セリエ博士(1907~1982)のストレス学説はこうだ。

 博士は外界の変化や精神の興奮によって起こる刺激(心身の負担)を“stressor(ストレッサー)”と呼び、その結果生ずる生体の変化を“stress(ストレス)”と名付けた。生体にストレッサーが加わると、交感神経や副腎(髄質、皮質)が刺激されて、アドレナリンコルチゾールなどのホルモンが分泌され、血糖や血圧が上昇する。これは生体が力を出し、外敵や心身への負担と戦おうとする防衛反応であるが、長く続くと病気が発症する。これが「セリエのストレス学説」である。

 セリエ博士は晩年にがんを患ったが、西洋医学の治療を拒否し、「自分の生涯はストレスの多い生活だったから、ストレスを取ることでなんとかがんを克服したい」と種々の方法を試みた。最後に「西洋人には希薄だけれども、東洋人独特の“感謝”の気持ちを持つことが心を安寧にし、ストレスを取るのに一番大切」と悟られて、毎日、周囲の人たち、自然、神、自分の置かれている環境などに感謝の気持ちを抱いて生活したところ、見事がんを克服することができた、という。

 どんな競技でもメダルを獲得する人たちの体力や技術は拮抗しており、勝負の分かれ目は精神力にあると思われる。競技にあたっては異常な緊張状態にあり、その結果アドレナリンやコルチゾールが分泌され、交感神経が刺激されて、血管が収縮し、血流が悪くなるため体が硬くなり、存分な力を発揮できない選手がほとんどであろう。

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