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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

今夜は中秋の名月、満月が及ぼす意外な影響…犯罪や交通事故が増える?体調不良の原因にも?

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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「Getty Images」より

 9月21日は「中秋の名月」である。太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月を中秋の名月と呼び、一年でもっとも美しい月といわれる。「十五夜」は、中秋の名月を眺めながら収穫などに感謝をする行事であるが、”月見団子を食べる日”のほうが認知度は高いかもしれない。

 今年の中秋の名月は8年ぶりに満月で、明るい夜空が期待できそうだ。だが、満月は美しさの一方で、人間の心理や体調に影響を及ぼすといった調査報告もあることをご存じだろうか。

 アメリカの医学博士A.L.リーバーが、1996年に発刊した著書『月の魔力』(増補版/東京書籍刊)のなかで「バイオタイド理論」を提唱した。

「人間は地表と本質的には同じ成分からなり、しかも相似した分布をもった小世界(ミクロコスモス)とみなすことができよう。(略)地表と同様に、人はほぼ80パーセントが水分で、20パーセントが固体である。私は、月の引力が宇宙の他の力とともにはたらき、体内の水分にも影響を及ぼしていると信じて疑わない。あなたの体も私の体も、地球の大洋と同じく、月の引力の影響を受けているのである。生命体のバイオタイドは、月により高くなったり低くなったりすると思われる」(『月の魔力』より)

 月の引力が、人体にも影響を与えているということだが、思い当たる事象は多くある。

満月に増えるもの

 ヨーロッパ各地に広く伝承されている”狼男”に関する「満月の光を浴びて狼に変身し、血や肉を求めてさまよい歩き、人間を襲い、夜明けとともに人間に戻る」というストーリーに象徴されるように、満月の夜には犯罪が増えるとの指摘もある。実際に、いくつかの国で満月と犯罪件数について調査が行われているが、満月と犯罪との相関性がないという結論も多く、その真偽は不明だ。

 また、満月の夜に交通事故が増える傾向にあるという調査報告もある。英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」(2017年12月11日号)に掲載された、カナダ・サニーブルック・ヘルス・サイエンスセンターのDonald A.レデルマイヤー氏の研究では、特にバイクではその傾向が強いと報告されている。その報告内容は、過去約40年に米国などで起きたバイクの交通事故を分析したところ、満月の夜は死亡事故の割合が約5%高いというのだ。

 その理由としては、美しい満月に気を取られ一瞬、気が緩んだ隙にバランスを崩し、事故へつながるのではないかと考察されている。バイクに乗る方は、満月の夜は十分に気をつけてほしい。

満月が体に与える影響

 月は約29.5日という周期で規則正しく満ち欠けを繰り返している。東洋医学では、自然と人体には相関関係があると考えられて、50~70%が水分でできている人体は、潮の満ち引きなどと同様に月の引力の影響を受けているといわれる。

 また、月と雨にも関連性があり、満月の直後には雨が多いという報告もある。雨の日は、気圧が下がるため、近年、注目される気象病による不定愁訴が起きる人が多い。気象病は、気圧の変化が原因で起こる身体の不調の総称で、頭痛、めまい、疲労感、関節痛、鬱傾向、不眠、吐き気など、さまざまな症状がある。また、喘息やリウマチなどの持病が悪化するケースもある。気象病の予防には、自律神経を整えることが有効とされる。その具体的な対策は、以下の通りだ。
・朝に太陽光を浴びる
・栄養バランスの良い食事
・適度な運動
・ぬるめ(37~40度)の湯温で、15分程度入浴
・十分な睡眠

 コロナ禍で迎える十五夜に、中秋の名月を楽しみながら健康についても考えてみてはいかがだろうか。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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